米カリフォルニア水素ハブ、バイデン政権の7つの水素ハブの1つに選定

(米国)

ロサンゼルス発

2023年10月25日

米国のバイデン政権が10月13日に発表した米国内7カ所の水素ハブ(2023年10月16日記事参照)の1つとして、カリフォルニア水素ハブ(ARCHES:Alliance for Renewable Clean Hydrogen Energy Systems)が選定された。連邦からの支援額は最大12億ドル。

ARCHESでは、再生可能エネルギーとバイオマスのみを利用した水素製造に取り組む。同州の主な温室効果ガス(GHG)排出源で、脱炭素化が最も困難な大気汚染源の公共交通機関、大型トラック輸送、港湾業務について、水素を活用した脱炭素化を目指す。

本プロジェクトは、同州の脱炭素に向けた水素関連の取り組みを推進する官民合同アライアンスであるARCHESにより申請されたもの。ARCHESには州政府や地方自治体、大学、労働組合、民間事業者、NGOなどが参画し、日本企業からは岩谷産業や豊田通商がパートナーとして名を連ねている。今後数週間で、ARCHESは米国エネルギー省(DOE)と協力して、プロジェクトを実現するための詳細な実施計画を策定する予定。それを基に、同州が可能な限り早くインフラの建設を開始し、プロジェクトを軌道に乗せる現実的なスケジュールを最終決定するという。

カリフォルニア州のギャビン・ニューサム州知事(民主党)は2022年に、2035年までに供給される電力の90%をクリーン電力にする義務を含む野心的な気候変動法案に署名し、2045年までにカーボンニュートラルを達成するとした。目標達成のため、カリフォルニア州はバイオ燃料や化石燃料などの、炭素を含む燃料への依存を大幅に削減する必要があり、本プロジェクトはその達成手段の1つに位置付けられる。本プロジェクトが選定されたことについて、同知事は「現在、私たちは構想から現実へ移行しており、気候目標を達成するために不可欠な、クリーンで再生可能な水素の導入をカリフォルニアで推進している。バイデン大統領のリーダーシップと、国家が気候変動に取り組むきっかけとなった超党派のインフラ法(インフラ投資雇用法、IIJA)がなければ、私たちはここにいないだろう。カリフォルニアの水素ハブは、汚染を削減し、クリーンエネルギー経済を推進し、何十万もの高収入の雇用を創出する」とコメントしている。

(森雄彦)

(米国)

ビジネス短信 5cc4d8f0a718e41d