米中西部水素ハブ、バイデン政権の7つの水素ハブの1つに選定

(米国)

シカゴ発

2023年10月25日

米国バイデン政権が10月13日に発表した米国内7カ所の水素ハブ(2023年10月16日記事参照)の1つに、中西部水素ハブ(MachH2:Midwest Alliance for Clean Hydrogen)が選定された。連邦政府からの支援額は最大10億ドル。このハブの設立で、1万2,100人の建設雇用、1,500人の常用雇用の計1万3,600人の直接雇用の創出を見込んでいる。

中西部水素ハブは、米国の重要な産業・輸送回廊に位置しており、鉄鋼・ガラス生産、発電、精製、大型輸送、持続可能な航空燃料(SAF)、農業など、水素を多く利用する大規模産業が集中している。同ハブの設置によって、これまで脱炭素化が困難だった産業でのクリーンな水素利用を促進することが狙いだ。また、水素ハブの設置は、カーボンフリーの水素の製造と消費を可能な限り互いに近い場所に設置することを促し、水素の輸送と貯蔵のコストを軽減するのに役立つという。これらの産業分野での脱炭素化により、年間約390万トンの二酸化炭素(CO2)排出量が削減される見込みで、これは86万7,000台以上のガソリン車からの年間CO2排出量に相当するとのことだ。なお、本水素ハブではイリノイ州とミシガン州の原子力・再生可能エネルギーなど多様なエネルギー源を利用して水を電気分解して製造する「グリーン水素」や、化石燃料から水素を製造する工程で排出されたCO2を回収し貯蔵または利用(CCS、CCUS)してCO2排出を抑えた「ブルー水素」の製造をする。

この水素ハブには、イリノイ州、インディアナ州、ミシガン州を中心とした官民からなる70以上ものエネルギー生産者、クリーンエネルギー開発企業、水素技術プロバイダー、国立研究所、大学などが参加する。

(星野香織)

(米国)

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