BYD、ウズベキスタンでEV組み立てへ

(ウズベキスタン、中国)

タシケント発

2023年10月02日

ウズベキスタン政府と中国の電気自動車(EV)組み立て大手の比亜迪汽車工業(BYD)は9月26日、ウズベキスタンでEVとハイブリッド車の組み立て製造に関する投資協定を締結した。

BYDとウズベキスタン自動車公社(ウズアフトサノアト)の合弁会社が、当初年間5万台規模で生産を開始する。ウズベキスタン中部ジザク市の工業団地内にある、自動車公社が所有する空き工場建屋(注)を利用する。

ウズベキスタンメディアによると、BYDが外国パートナーと中国国外で電気自動車を組み立てる最初のプロジェクトとされる。組み立て用および補修用部品の現地製造化、第三国向け輸出、電気バスの組み立てなども今後の計画として想定されている。

両社は、2022年2月に戦略的覚書に調印し、同年8月に乗用車製造について基本合意した。2023年2月からは、ウズベキスタンで公式ディーラーによる乗用車販売も開始されている。

ウズベキスタンでは最近、中国ブランド車関連の事業立ち上げが目立つ。2022年9月には同じくジザク州で奇瑞汽車のブランド車「チェリー」の組み立てが開始、2023年5月にはタシケント近郊シルダリヤ州で「エクシード」の組み立てが開始された。2023年9月27日には、アンディジャン州で第一汽車のブランド「FAW」トラックの組み立てが開始された、と報道されている。

2022年2月のロシアのウクライナ侵攻を契機に、欧米・日系自動車メーカーや部品製造企業がロシアから軒並み撤退し、ロシアの自動車産業は壊滅的な打撃を受けた。ロシアブランドの乗用車・組み立て部品、商用車などの供給を受けていたウズベキスタンの地場企業は、中国自動車ブランドを代替先として協業を拡大させている。

写真 BYD工場が入居するジザク自由経済区の区割り図。赤丸部分が該当箇所。10.6ヘクタールと報道されている。(ジザク自由経済区事務局の資料をジェトロ撮影)

BYD工場が入居するジザク自由経済区の区割り図。赤丸部分が該当箇所。10.6ヘクタールと報道されている。(ジザク自由経済区事務局の資料をジェトロ撮影)

(注)同建屋は元来、プジョー・シトロエン・グループ(PSA)とウズアフトサノアトの合弁事業のために建設された。最終的に事業は立ち上がらず、2020年にはフォルクスワーゲン(VW)のロシア法人との間で同建屋を利用しての商用車組み立ての構想が持ち上がったが、凍結されていた(2020年3月16日記事参照)。

(高橋淳)

(ウズベキスタン、中国)

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