物価高騰で生活費追加支援を発表、国民に最大800Sドル配布へ
(シンガポール)
シンガポール発
2023年10月02日
シンガポールのローレンス・ウォン副首相兼財務相は9月28日、物価高騰に伴う総額11億シンガポール・ドル(約1,199億円、Sドル、1Sドル=約109円)の追加生活支援パッケージを発表した。今回のパッケージは2023年度(2023年4月~2024年3月)政府予算で発表した生活支援(アシュアランス・パッケージ)に追加するもので、所得に応じて成人の国民1人当たり最大800Sドルの現金給付などを行う。
今回の追加パッケージは、(1)現金給付、(2)商品券、(3)公団住宅(HDBフラット)維持管理費の追加払い戻し、(4)HDBフラット居住者向け電気・水道料金の追加払い戻し、(5)低所得者向けの交通費補助などからなる。このうち、現金給付については、2023年度予算で発表していた支援金を含めると、12月に成人国民(21歳以上)に支給する現金給付額は、1人当たり総額200~800Sドルとなる。また、2024年に配布を予定している1世帯当たり500Sドル分のデジタル商品券については、さらに1世帯当たり200Sドル分を追加する。デジタル商品券は公共の飲食店や指定のスーパーマーケットなどで使用ができる。2024年1月4日からオンラインで給付申請の受け付けを開始予定だ。
ウォン副首相は今回の追加支援策導入の背景として、同国経済のリセッション(景気後退)入りはないものの、経済の先行きが悪化するリスクが強まっていると指摘。その中で国民の実質所得の伸びが2023年に軟化すると見込まれる一方で、交通費や水道料金が上昇する見込みだと説明した。
バス・鉄道料金を7%引き上げ、水道料金18%上昇へ
今回の発表に先立ち、公共輸送料金を設定する公共輸送評議会(PTC)は9月18日、バスや鉄道料金を12月23日から7%引き上げると発表していた。また、公益事業庁(PUB)は9月27日、水道料金を1立方メートル当たり0.5Sドル引き上げると発表している。家庭の飲用水道料金は現在、同2.74Sドル。水道料金の引き上げは2段階で行われ、2024年4月1日から0.2Sドル引き上げ、2025年4月1日からさらに0.3Sドル引き上げる予定だ。さらに、政府系電力供給会社SPグループは9月29日、2023年第4四半期(10~12月)の電力料金を平均で3.7%引き上げると発表した。
(本田智津絵)
(シンガポール)
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