第3四半期のCPI上昇率、前年同期比2.89%、9月単月は3.66%
(ベトナム)
ハノイ発
2023年10月12日
ベトナム統計総局は9月29日、2023年第3四半期(7~9月)の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同期比2.89%と発表した(添付資料表参照)。1~9月のCPI上昇率は3.16%で、通年の上昇率を4.5%以内とする政府目標はおおむね達成できそうな見通しだ。
穀物やエネルギーを計算から除いたコアCPI(注)は1月をピークに8カ月連続で緩やかに下落している。総合CPIは7月から3カ月連続の上昇に転じ、9月単月のCPIは前年同月比3.66%となった(添付資料図参照)。
9月のCPIを財別にみると、穀物は前年同月比10.49%と上昇率が最も高かった。世界最大のコメ輸出国インドが国内価格の安定を目的に、コメ輸出を7月に禁止したことなどを背景に、各国のコメの輸入需要が増加し、コメの国際価格が上がった。このため、ベトナム国内のコメやその他の穀物価格も上昇した。また、交通は、ガソリンなどの燃油価格が9月に相次いで引き上げられたことで、前年同月比3.20%となった。
引き下げた政策金利は6月以来据え置きも、ドル高ドン安が進行
ベトナム国家銀行(中央銀行)は2023年3月から6月にかけ、主要政策金利を4カ月連続で引き下げたが、それ以降は利下げをしていない。10月5日時点でディスカウントレート(公定歩合)は年3.0%、リファイナンスレートは年4.5%だ。
足元では米国との金利差が拡大したことなどに伴い、ドル高ドン安が進行する。上半期には1ドル2万3,400ドン(約142.7円、1ドン=約0.0061円)台で推移していた為替は、8月末に1ドル=2万4,000ドンを超えた。国家銀行は9月下旬から公開市場操作を行い、市場からドン資金を吸収するなど、ドル高ドン安に歯止めをかけようとしているが、10月初めには1ドル=2万4,300~2万4,400ドン台までドン安が進行した。
ドン安は、エネルギーや原材料の輸入価格のさらなる上昇をはじめ、インフレを誘発させる恐れがある。国家銀行は、経済回復を優先する政府の方針をくみながら、金融緩和の維持と為替の調整に苦慮する状況が続きそうだ。
(注)コアCPIは、総合CPIから穀物、生鮮食品、エネルギー、国家管理材(医療・教育サービスなど)を除いたもの。
(萩原遼太朗)
(ベトナム)
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