EUの2021年のR&D支出は前年比6.9%増、GDP比でベルギーがトップ

(EU)

ブリュッセル発

2023年10月12日

EU統計局(ユーロスタット)は10月4日、EUの2021年の研究開発(R&D)への支出額は3,310億ユーロに上り、前年比6.9%増だったと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。2011年比では45.0%増。ユーロスタットによれば、物価変動と支出の変化の両方を反映している。一方、2021年のGDPに占めるR&D支出の割合(R&D集約度)は、前年の2.3%から2.27%へとわずかに減少した。2020年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりGDPが大幅に落ち込んだものの、2021年に回復したことに起因するとした。2019年(2.23%)と比べると0.05ポイント増加し、10年前と比較すると0.26ポイント増となった。

R&D集約度を国別でみると、ベルギーの3.43%が最も高く、次いでスウェーデン(3.4%)、オーストリア(3.26%)、ドイツ(3.13%)が3%を超えた。他方、1.0%を下回った国は、ルーマニア(0.47%)、マルタ(0.65%)、ラトビア(0.74%)、ブルガリア(0.77%)、キプロス(0.83%)、スロバキア(0.92%)の6カ国だった。

2011~2021年の間に、R&D集約度が減少した加盟国は、フィンランド(0.63ポイント減)、エストニア(0.55ポイント減)、アイルランド(0.44ポイント減)、ルクセンブルク(0.38ポイント減)、スロベニア(0.29ポイント減)、デンマーク(0.18ポイント減)、マルタ(0.01ポイント減)の7カ国だった。一方で、R&D集約度が最も増えた国はベルギーの1.26ポイント増で、ギリシャ(0.77ポイント増)、ポーランド(0.68ポイント増)が続いた。

EUのR&D支出を部門別でみると、データが入手可能となった2000年以降、企業部門が最大シェアを占めている。2021年には、R&D支出額の65.95%(約2,183億2,000万ユーロ)を企業部門が占め、続いて、高等教育部門が21.76%(720億3,000万ユーロ)、政府部門が11.64%(385億5,000万ユーロ)、民間非営利部門が0.65%(21億4,000万ユーロ)を占めた。

ユーロスタットは、EU加盟国のR&D集約度は増えているものの、EU域外の主要国である、韓国(4.93%)や米国(3.46%)、日本(3.34%)、中国(香港を除く)(2.41%、2020年)を下回っていると評した。

(大中登紀子)

(EU)

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