米商務省、ロシアへの集積回路など輸出で外国事業体を輸出管理対象に追加

(米国、ロシア、ウクライナ、中国、エストニア、フィンランド、ドイツ、トルコ、アラブ首長国連邦、英国)

ニューヨーク発

2023年10月11日

米国商務省産業安全保障局(BIS)は10月6日、ロシアの軍需防衛産業向けに集積回路(IC)を輸出したことなどを理由に、49の外国事業体の52拠点を輸出管理規則(EAR)上のエンティティー・リスト(EL)に追加外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。正式には10月11日付の官報で公示外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされるが、EL掲載の効果は10月6日から有効となっている。

ELとは、米国政府が「米国の国家安全保障または外交政策上の利益に反する行為に携わっている、またはその恐れがある」と判断した団体や個人を掲載したリストで、それらに米国製品(物品、ソフトウエア、技術)を輸出・再輸出・みなし輸出などを行う場合には、BISの事前許可が必要となる。今回追加した52拠点の国別の内訳は、中国42拠点、エストニア1拠点、フィンランド1拠点、ドイツ1拠点、インド3拠点、トルコ2拠点、アラブ首長国連邦(UAE)1拠点、英国1拠点となっている。

BISは今回のEL追加理由について、ロシアの軍需防衛産業とつながりのある事業者に、米国が同盟・友好国と作成した高度優先品目リストの「ティア1」に含まれるICなどを輸出したことを挙げている(2023年10月4日記事参照、注)。BISは、ロシアがこれらICなどをミサイルやドローンの精密位置案内システムに搭載してウクライナ戦争に利用していると指摘している。今回追加された事業体にEAR対象製品の輸出などを行う場合、許可申請をしても不許可(policy of denial)と厳しい審査方針が取られることになっている。アラン・エステベス商務次官は「どこに所在していても、ウクライナへの戦争を続けるロシアの軍隊へ米国原産の品目を売り渡すことに加担する者には躊躇(ちゅうちょ)せずに対応するということをわれわれは最初から明らかにしていた」との声明を出しており、今後も米国はじめ複数国間による輸出管理に違反する者への執行を継続していく意向を示した。

なお、バイデン政権の対ロシア・ベラルーシ制裁については添付資料参照。

(注)BISはロシアとベラルーシ向けの輸出などで特にデューディリジェンスが必要な品目を関税分類番号(HSコード)6桁で指定して公開外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

(磯部真一)

(米国、ロシア、ウクライナ、中国、エストニア、フィンランド、ドイツ、トルコ、アラブ首長国連邦、英国)

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