ブラジル・ベトナム首脳会談、農産物輸出に道筋、メルコスールとのFTA交渉の可能性探る

(ブラジル、ベトナム、メルコスール)

調査部米州課

2023年10月04日

ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は9月25日、首都ブラジリアで、ベトナムのファム・ミン・チン首相と会談し、教育、農業、防衛、外交の4分野の協力協定に署名した。

特にブラジルが強みを持つ農業分野で、両者は「ブラジル・ベトナム間の農業協力に関する行動計画」に署名した。同行動計画は、2018年7月に署名した覚書の履行に向け、2023年から2025年の具体的な行動計画を示しており、農産物輸出データの交換や、農林水産物輸出入市場の規制と交渉などの内容を含んでいる。ルーラ大統領は、ベトナムはブラジルのアグロビジネスで6番目に大きな市場だとし、「今後は付加価値の高い製品の輸出を拡大していきたい」と発言した。農業に加えて防衛、科学技術、バイオ燃料、再生可能エネルギー、低炭素社会への移行などの分野でも、両国は関係強化の余地があるとしている。

防衛分野では、ファム・ミン・チン首相が首都ブラジリア訪問の前に、ブラジル航空機メーカーのエンブラエルを訪れ、同社の輸送機(KC-390)、航空機(Super Tucanos)への関心を示しており、ベトナムへの輸出が今後拡大する可能性がある。

外交関係については、ルーラ大統領はベトナムとメルコスールの自由貿易協定(FTA)締結に関心があると強調し、ブラジルがメルコスール議長国として同協定の可能性について議題にすると発言した。メルコスールは2019年にEUとのFTAで政治合意をしているほか、韓国、シンガポール、カナダなどの国々とのFTA締結へ向けての協議も行われている。

(小西健友)

(ブラジル、ベトナム、メルコスール)

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