東南アジア初の高速鉄道、10月2日に開業

(インドネシア)

ジャカルタ発

2023年10月03日

インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は10月2日、東南アジア初の高速鉄道となる「Whoosh」の開業を正式に発表した。同鉄道は首都ジャカルタと西ジャワ州のバンドン間(142.3キロ)に所在するハリム、カラワン、パダララン、テガルアルの計4駅を最高時速350キロで結ぶ。車両は8両編成で、1~3等車に分かれており、乗客定員は601人とされている。

ジャカルタで行われた開業式典に参加したジョコ大統領は「Whooshは、インドネシア語のWaktu Hemat(時間節約)、Operasi Optimal(最適運転)、Sistem Hebat(素晴らしいシステム)の頭文字から取っている。発音は『ウーシュ』だ。これは高速鉄道が疾走する音から着想を得た」と語った(内閣官房プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。加えて、「高速鉄道は、インドネシアにとって技術、建設、コストモデルの観点で新しいが、国の発展のために新たな技術の導入を恐れるべきではない」「技術の導入過程で予期せぬ問題、現場での困難が生じることもある。そうした経験は高額だが、非常に価値がある。私たちが首尾一貫していれば、資金面を含むさまざまな問題は次第に小さくなる」と述べた(内閣官房プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

ルフット・パンジャイタン海事・投資担当調整相は「高速鉄道の存在は、新たな雇用創出を生み出すほか、他の交通機関と交差する地域で経済成長を促す。また、鉄道システムの建設と高速鉄道に使用される最新技術の移転により、インドネシアの人材の能力を高めることにもつながっている」としている。

高速鉄道を巡っては、2015年に中国がインドネシアに財政支出や債務保証を求めない計画案を提示し、日本との受注競争を制した。その後、インドネシアと中国が合弁会社クレタ・チュパット・インドネシア・チャイナ(KCIC)を設立し、同社が建設を担った。総事業費は、当初予定の約60億ドルから約72億ドルまで膨らみ、超過額約12億ドルの分担について両政府間での協議が行われていたが、最終的にインドネシアは公費を投入することとなった(「ビスニス」8月16日)。また、土地収用が難航したことや、新型コロナウィルス感染拡大の影響などを受けて、開業延期も繰り返され、当初想定されていた2019年から4年遅れての開業となった。

(八木沼洋文)

(インドネシア)

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