宝飾品見本市で日本のアコヤ真珠をテーマとしたトークセッション開催

(イタリア、日本)

ミラノ発

2023年10月16日

イタリアの宝飾品製造業者は、世界から希少な材料を輸入してイタリアで加工し、メード・イン・イタリーの宝飾品として国内外に販売している。

2022年のイタリアの真珠輸入総額は約1,300万ユーロで、10年前の2012年と比較して49.2%減となった。輸入額は年々、減少傾向にある。最大の輸入相手国は中国で、輸入全体の58.4%(約800万ユーロ)を占め、次いで日本が23.0%(約300万ユーロ)だった。日本産の真珠は生産量が少なく、イタリアなど欧州市場に出回る商品も非常に限られており、希少価値が高い。

日本産真珠へのニーズの高まりもあり、イタリア北部のビチェンツァで9月8~12日に開催された欧州最大級の宝飾品見本市であるビチェンツァオーロ(VICENZAORO)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、日本のアコヤ真珠をテーマとしたトークセッションが行われた。ビチェンツァオーロは毎年1月と9月の2回開催される。今回は132カ国から来場者が訪れ、1,200のブランドが出展した。

「The Beauty of Japanese Akoya Pearls」と題された9月10日のトークセッションには約70人が参加した。日本からは、国際貴金属宝飾品連盟(CIBJO)真珠委員会の赤松蔚副委員長と日本真珠輸出組合の伊地知由美子専務理事が登壇した。赤松氏は、日本の養殖真珠産業の歴史を振り返りつつ、今後の真珠産業は、養殖技術を労働集約的なものから技術集約的なものへと転換していく必要があると指摘した。伊地知氏は、廃棄漁網のアップサイクル活動などを紹介し、日本の真珠産業を持続可能なものにするための取り組みを紹介した。伊地知氏は日本のアコヤ真珠が美しい理由として、「四季、豊富な自然、これら真珠産業に携わるすべての人々の熱意」を挙げた。

参加者からは、持続可能な真珠産業の構築に向けた取り組みについて詳細を聞きたいとの声が多く、サステナビリティへの関心の高さが窺われた。また、日本の真珠産業の歴史や技術などについての詳細情報もニーズが高く、さらなる情報発信が期待された。

写真 トークセッションの様子(ジェトロ撮影)

トークセッションの様子(ジェトロ撮影)

イタリア国家統計局(ISTAT)の統計によると、2022年のイタリアの宝飾品(貴金属または貴金属でコーティングされたもの)の輸出額は前年比19.9%増の93億1,100万ユーロだった。2023年上半期も、前年同期比14.4%増の52億5,700万ユーロとなり、2023年通年では100億ユーロを突破する勢いだ。

また、イタリアの全国金銀・宝石・時計商連盟(Federpreziosi)が2023年1月に発表した調査報告書によると、イタリア国内の宝飾品店(時計、銀製品販売店を含む)の2021年の売上総額は49億ユーロとなり、前年比で7億ユーロ増加した。

イタリアでは、宝飾品はプレゼントとしてよく購入される。上述の調査報告書によると、過去2年間でプレゼントとして最も購入されたものを問う質問の回答として、宝石・時計が3位で35.0%となり、その内訳として、最も多かったのが金の宝飾品(31.0%)、次いで銀の宝飾品(22.4%)、3位が真珠、ダイヤモンド、サファイヤ、サンゴなどの宝石で飾られた宝飾品(19.0%)だった。

(三宅悠有)

(イタリア、日本)

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