日メコン・ビジネスセミナーがバンコクで開催、ビジネス機会創出に高い期待感

(タイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム、日本)

バンコク発

2023年10月06日

日アセアン経済産業協力委員会(AMEICC)事務局は10月4日、タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)と経済産業省、タイ商工会議所、ジェトロと「日メコン・ビジネスセミナー」をバンコクで開催した。メコン地域の5カ国(タイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)と日本のビジネス関係者や政府の投資・産業担当官が登壇した。

写真 バンコクで開催された日メコン・ビジネスセミナー(ジェトロ撮影)

バンコクで開催された日メコン・ビジネスセミナー(ジェトロ撮影)

経済産業省の吉川徹志通商交渉官は「メコン地域の5カ国は高い経済成長力と豊富で優秀な労働力を有する。中間層の成長に伴う内需拡大を背景に、消費地としても大きな発展の可能性を有している」と述べ、「メコン産業開発ビジョン(MIDV)2.0PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に沿って、メコン地域の産業発展とビジネス機会の創出に取り組んでいきたい」と述べた。

ジェトロの黒田淳一郎バンコク事務所長は「メコン地域には多くの日系企業が進出している。今後、デジタル、グリーン、ヘルスケアなどの取り組みの中心地となる」とし、米国や中国、韓国なども、気候変動対策や連結性向上、包摂的なデジタル化、人材育成といった面で、メコンへの取り組みを深めている点を指摘した。「メコン各国には、それぞれの事情や固有の文化があり、日本側も各国状況を理解し、寄り添う姿勢が大切だ」と強調した。

写真 最新のメコンビジネス事情を知るために、ビジネス関係者が参加(ジェトロ撮影)

最新のメコンビジネス事情を知るために、ビジネス関係者が参加(ジェトロ撮影)

タイ商工会議所のパイラット・ブラパチャイシー副会頭は「日本とメコン地域の友好関係は深い。日本がメコン地域の経済発展を促進し、社会経済の開発に貢献してきた」と述べた。また、メコン各国でのイノベーション促進、競争力強化の必要性を指摘しつつ、「持続可能な成長、『誰一人取り残さない』という包摂性も優先されるべき」と語った。ワンチャット・スワンキティNESDC副長官も「気候変動対策、持続可能な社会を実現するためのプラットフォームを強化する必要がある」とし、外国企業の投資による技術移転の重要性を強調した。

企業関係者によるパネル討論では、配車アプリなどを提供するラオスの代表的スタートアップ「ロカ」(2018年9月13日記事参照)のスリヨ・ウォンダラ最高経営責任者(CEO)が登壇。2018年に設立した同社も、創業当初から資金やビジネス環境の面で苦労が絶えなかったという。「エコシステムが十分に整っていないという課題はある。試行錯誤を重ねている」と述べた。タイの飲料大手イチタンの新事業開発担当者からは「各国政府はスタートアップに対する環境整備に取り組むべきだ。イノベーション研究や人材開発に加え、起業家向けのスペースづくり、ファイナンス面での支援に加えて、税務インセンティブが必要だ」という声があがった。

写真 ラオスの代表的スタートアップ「ロカ」などが登壇(ジェトロ撮影)

ラオスの代表的スタートアップ「ロカ」などが登壇(ジェトロ撮影)

日本企業からは、イオンモールカンボジアロジプラスが同社の最新の取り組みの保税物流サービス(2022年5月24日記事参照)と越境電子商取引(EC)サービスを紹介したほか、メコン地域で事業開発に取り組む日系スタートアップのスタディスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますゼロボード(長瀬産業との協力事例)が取り組みを紹介した。

(北見創)

(タイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム、日本)

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