イオンモール、カンボジア初の保税物流センターを起工

(カンボジア、日本)

プノンペン発

2022年05月24日

イオンモールカンボジアの100%子会社イオンモールカンボジアロジプラスは5月11日、カンボジアで初となる保税での非居住者在庫が可能な多機能物流センターの起工式を開催した。シハヌークビル港経済特別区(SPSEZ)内の約3万平方メートルの敷地に同センターを建設し、2023年2月以降、通関代行などのサービスを開始する予定だ。国際協力機構(JICA)によると、シハヌークビル港湾公社(PAS、注)は同国政府とともに、シハヌークビル港および隣接するSPSEZを自由貿易港として一体運用する構想を進めており、日本政府やJICAが支援してきた。同構想は、投資拡大や港の貨物取扱量の増加を目標にしており、ロジプラスは構想の実現に向けた最初のパイロット事業者となっている。

これまで、カンボジアでは、輸入貨物は原則として、港に到着後すぐに通関され、指定倉庫に運ばれていたため、事業者は部品や商品の在庫を国内倉庫で抱える必要があった。多機能物流センターの開設によって、非居住者は所有権を国内居住者へ移転することなく、貨物を保税状態で長期保管することが可能になる見込みだ。それによって、製造業や小売業、越境EC事業などの事業者は原料調達や出荷のリードタイムを短縮することができる。加えて、通関手続きをせずに貨物を保税状態のまま他国へ輸送することもできるため、複数国に拠点を持つ企業は、効率的な供給網を構築できる。カンボジアにとって新しい物流の仕組みとなるため、パイロット事業者には、カンボジア政府や関係者とともに制度設計を進めることが期待されている。

イオンモールカンボジア社長兼ロジプラス社長の坪谷雅之氏は、カンボジアの地理的優位性に触れて「ロジプラスの事業を通じて、カンボジアを豊かにし、経済のさらなる発展のために尽力したい」と述べた。三上正裕・駐カンボジア大使や、経済財政省のヘム・バンディ長官が出席し、この事業が軌道に乗ることによりシハヌークビル港がASEANのハブ港として発展し、さらに投資が拡大することへの期待を示した。

写真 起工式には日カンボジアの関係者が参加した。左から4人目がイオンモールカンボジア兼ロジプラス社長坪谷雅之氏、続いて三上正裕大使、カンボジア経済財政省ヘム・バンディ長官(ジェトロ撮影)

起工式には日カンボジアの関係者が参加した。左から4人目がイオンモールカンボジア兼ロジプラス社長坪谷雅之氏、続いて三上正裕大使、カンボジア経済財政省ヘム・バンディ長官(ジェトロ撮影)

(注)シハヌークビル港湾公社はシハヌークビル港およびSPSEZの運営企業であり、カンボジア経済財政省が株式の75%を所有している。

(秋間かをる)

(カンボジア、日本)

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