販路拡大へ宮下農水相がホタテPR、マレーシア政府は輸入手続きが従来どおりと確認
(マレーシア、日本)
クアラルンプール発
2023年10月06日
マレーシアの首都クアラルンプール市内の「ドンドンドンキ(DONDON DONKI)」(「ドン・キホーテ」の現地店)で10月4日、日本の水産品の販売支援イベントが実施された。日ASEAN農林相会合やASEAN+3農林相会合への出席などのためマレーシアを訪問中の宮下一郎農林水産相は、インフルエンサーのアンバー・チア氏(注)とともに、宮城県産のホタテを振る舞った。店内にはホタテの刺し身や、ホタテを使ったすしが並び、試食した来店客からは「おいしい」と日本語コメントも相次いだ。
宮下農林水産相はイベントでのあいさつで、日本からマレーシアへの水産品輸出が2023年8月には前年同月比19%減となったと指摘。「フェアや見本市を今後各地で行い、多くの人に知ってもらうことで、水産品の輸出につなげたい」と、ASEANでの販路開拓に意欲を示した。
同日夕には、クアラルンプール市内の日本食レストランで、マレーシアの農業・食糧安全保障副大臣や日本食品の輸入事業者、インフルエンサー、メディアを招待し、ホタテなど日本の水産品の試食会を開催。宮下農林水産相は、東京電力福島第1原子力発電所のALPS処理水の放出は「安全性に万全を期した上で実施しており、科学的観点から何ら問題は生じていない」と説明した。また、同席したアンバー・チア氏のSNSを通じて、水産品の安全性が発信された。
ALPS処理水放出後に日本産水産品への追加輸入規制は課さず
モハマド・サブ農業・食糧安全保障相は同日午前に行われた宮下農林水産相との会談の後、ALPS処理水放出を受けてマレーシアとしては日本からの農水産物に輸入制限を行っていないことをあらためて表明した。保健省の検査で食品の安全性は常に監視されているとし、「日本から輸入する水産品は安全だ。安心して消費して良い」と同相は呼びかけた。
保健省は8月23日に一部食品に対する検査を実施するとの通達(2023年8月28日記事参照)、8月28日には農業・食糧安全保障省が「日本産の水産品の輸入に必要な手続きを確認する」とする通達を発出した。この際、在マレーシア日本大使館が同省水産局に対し、既存の手続きや措置に変更が生じていないことを確認していた。
宮下農林水産相とアンバー・チア氏(ジェトロ撮影)
来店客にホタテを振る舞う宮下農林水産相(ジェトロ撮影)
日本食レストランでの実演(ジェトロ撮影)
(注)モデル、女優のほか、クアラルンプールでモデル養成、美容スクールを創設。インスタグラムは30万4,000人がフォローするメガインフルエンサー。パブリックフィギュアの1人として、マレーシア全般で知名度が高い。
(吾郷伊都子、エスター頼敏寧)
(マレーシア、日本)
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