9月の米消費者物価指数、前年同月比3.7%上昇と伸び横ばい、コア指数は引き続き伸び減速

(米国)

ニューヨーク発

2023年10月13日

米国労働省が10月12日発表した2023年9月の消費者物価指数(CPI)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は前年同月比3.7%上昇と、前月の3.7%上昇から横ばいで推移した。市場予測(3.6%上昇)と比べわずかに高い数字となった。変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は同4.1%上昇で、前月の4.3%上昇から伸びが引き続き低下した。前月比では、CPIは0.4%上昇(前月0.6%上昇)と伸びが低下し、コア指数は0.3%上昇(前月0.3%上昇)と横ばいだった(添付資料図参照)。

品目別に前年同月比でみると、エネルギーは0.5%下落(前月3.6%下落)と下落幅は引き続き縮小した。ただし、ガソリンは3.0%上昇(前月3.3%下落)した。サウジアラビアやロシアをはじめOPECプラスの減産方針が続いていることに伴う影響だ。

食料品は3.7%上昇(前月4.3%上昇)、うち外食は6.0%上昇(前月6.5%上昇)と伸びが引き続き鈍化した。

財は0.0%上昇(前月0.2%上昇)と伸びが引き続き鈍化した。内訳では、中古車が11カ月連続のマイナスとなる8.0%減となったほか、新車も2.5%上昇(前月2.9%上昇)と伸びが鈍化した。

サービスは5.7%上昇(前月5.9%上昇)と引き続き伸びが鈍化。物価のうち3割のウエートを占める住居費は、前年同月比7.2%上昇(前月7.3%上昇)と伸びはやや鈍化したものの引き続き高い水準となっている。内訳では、帰属家賃は7.1%上昇(前月7.3%上昇)、賃料は7.4%上昇(前月7.8%上昇)だった。また、住宅を除くサービス価格は2.8%上昇(前月3.1%上昇)となった(添付資料表参照)。

今回の結果は、賃金上昇率の緩やかな低下を背景に引き続きコア指数は緩やかに低下傾向の中で、住居費が引き続きインフレ鈍化の重しになり、エネルギー価格の動向に留意が必要、といった大まかな構図に変わりはない。

2023年内はあと2回、連邦準備制度理事会(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC)が予定されており、9月に示された経済見通しでは年内にあと1回(0.25ポイント)の利上げが示唆されている。今回のCPIの結果は経済見通しから大きく外れるものではなかったが、雇用情勢が強さを示すなどアップサイドリスクがある一方(2023年10月11日記事参照)、教育ローンの返済再開、各種金利の上昇、政府閉鎖への懸念など、さまざまなダウンサイドリスクもあり、FRBは難しいかじ取りを迫られそうだ。

(加藤翔一)

(米国)

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