グジャラート州サナンドII工業団地、ハイテク半導体拠点へ

(インド)

アーメダバード発

2023年09月26日

7月に合弁を解消したベダンタ、フォックスコンの両社はそれぞれ、インドでの半導体製造事業にとどまるとされてきたが、インド政府に対して別々に半導体製造工場の設立計画を申請したと現地メディアは報じた。両社とも技術パートナーの詳細や半導体製造工場の資金計画などを既に政府へ提出しており、政府は両社との間での最終合意に向けた協議を行っている(「エコノミック・タイムズ」9月8日)。一方、ナレンドラ・モディ首相の6月の訪米時にグジャラート(GJ)州進出が発表された米マイクロンの半導体事業計画の具体的な内容に関しても、地元メディアが報道し始めている。

フォックスコンは、STマイクロエレクトロニクスを提携先に、インドでの半導体製造事業を進めるもようだ。両社の連携事業では、自動車やカメラ、プリンターなど幅広いアプリケーションで使用する40ナノメートル(nm)の半導体製造に特化した製造施設設立を目指している。フォックスコンのヤン・リュー会長は「インドはサプライヤーのエコシステム構築が中国よりも早く発展する可能性が高く、世界の新たな半導体製造拠点として台頭する準備が整っている」と述べた(「ザ・ヒンドゥ」9月7日)。

6月にGJ州アーメダバード市郊外のサナンドII工業団地への進出を発表した米マイクロンは、生産開始への大幅な時間短縮のため、2フェーズに分けてATMP(組み立て、テスト、マーキング、パッケージング)事業を立ち上げる計画だという(「ビジネス・スタンダード」9月7日)。

第1フェーズでは、他社から買収した10エーカーの土地・建物を活用し、クリーンルームを備えたATMP(注)工場に改装する。製造設備の一部は同社のマレーシア拠点の既存施設から移転し、2024年3月までに生産を開始する予定だ。この段階では、大規模施設が必要なテスト工程はインド国外で実施されるが、その他の工程は当地で行われる。

第2フェーズでは、GJ州政府から割り当てられた93エーカーの土地に、20億ドル、18カ月をかけて2024年12月までに大規模工場を新設する予定だ。ここではウエハーのみ国外からの輸入となるが、テスト工程も内製化され、リソグラフ装置を必要とするフリップチップも製造する見込みだと報じられている。

GJ州政府科学技術省もインド政府と連携してインフラ環境整備やベンダー誘致、保税倉庫の設置認可などさまざまな支援を行っており、これまで自動車産業の代名詞だったサナンドIIはハイテク半導体のハブに変貌しつつある。

(注)ATMP:「修正組み立て・試験・マーキング&パッケージング」。

(古川毅彦)

(インド)

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