全米自動車労働組合(UAW)、GMとの労使交渉で提案の受け入れを拒否

(米国)

シカゴ発

2023年09月11日

全米自動車労働組合(UAW)のショーン・フェイン会長は9月7日、ゼネラルモーターズ(GM)が同日に提出した労使交渉に関する提案の受け入れを拒否する声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同氏は「GMは、過去6週間にわたり誠意ある交渉を拒否し、全米労働関係委員会に申し立てをされてようやく交渉のテーブルについたが、労働者にとって公平な合意とは程遠い侮辱的な提案をしてきた」と強く非難した。現行の4年契約の労働協約の期限が9月14日に迫る中、UAWとデトロイト3との労使交渉はいずれも合意に達しておらず、ストライキ突入への可能性が高まっている。

UAWは、8月18日にはステランティス、8月31日にはフォードの提案が受け入れがたいものだったと発表している。また、UAWは8月31日、GMとステランティスが誠意をもって労使交渉に臨むのを拒否することは違法かつ不公平労働行為だと主張し、全米労働関係委員会に申し立てをしていた。

JPモルガンは、ストライキによるサプライチェーンの混乱で、新車の生産が減り、中古車価格が押し上げられ、個人向け自動車保険事業の利益を圧迫する(注)可能性があるとみている(ロイター9月7日)。また、米国コンサルティング会社のアンダーソンエコノミックグループ(AEG)は、デトロイト3全社で10日間のストライキが実行された場合、経済的な損失は50億ドルにのぼると予測している。なお、2019年のGMでのストライキは40日続き、29億ドルの損失を出し、30万台の自動車生産に影響があったとしている(オートモーティブニュース9月6日)。

(注)車が破損したとみなされた場合、保険会社はその車の市場価格を支払うことになるため、中古車価格が上昇すると、自動車保険の補償限度額が上がり、被保険者による保険金請求がより高額になる。

(星野香織)

(米国)

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