ASEANインド太平洋フォーラム開催
(ASEAN、日本)
ジャカルタ発
2023年09月08日
ASEANインド太平洋フォーラム(AIPF:ASEAN Indo-Pacific Forum)が9月5日、インドネシア・ジャカルタで開幕した。
AIPFは「インド太平洋に関するASEANアウトルック(ASEAN outlook on Indo-Pacific)」(注)の具体的な取り組みとして、外務省を中心とするインドネシア政府の主導で開催された。主題は「グリーンインフラストラクチャーと持続可能なサプライチェーン」「持続可能で革新的な金融」「デジタルトランスフォーメーション(DX)とクリエーティブエコノミー」で、将来の協力と包摂的な成長の方向性を定めることが成果として期待される。
オープニングセレモニーには、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領、エリック・トヒル国営企業相のほか、フィリピンやシンガポール、タイなどASEAN各国の代表が参加した。
ジョコ大統領はフォーラム冒頭に登壇し、「6億8,000万人の人口を擁するASEANは有望な投資機会を持つ市場だ。一方で、私たちの地域は、世界が抱えるさまざまな課題や地政学的対立、特にインド太平洋地域での潜在的な紛争可能性などの脅威と無縁ではない。AIPFは、インド太平洋地域の対立を実りある協力に変え、誰一人取り残されたと感じることなく、協力のためのウィンウィンの方程式を構築するためにある」として、開会を宣言した。
パネルディスカッションでは、チャティブ・バスリ元インドネシア財務相がモデレーターを務め、パネリストとしてIMFのクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事、世界銀行のアジェイ・バンガ総裁、世界経済フォーラムのクラウス・シュワブ会長、東アジア・アセアン経済研究センターの渡辺哲也事務総長が登壇し、インド太平洋地域を取り巻く現況や今後の見通しについて議論を行った。
2日目の6日には岸田文雄首相が登壇し、「日ASEAN包括的連結性イニシアチブ」を発表した。岸田首相は同イニシアチブの下、(1)交通インフラ整備、(2)デジタルコネクティビティー強化、(3)海洋協力強化、(4)サプライチェーンの強靭(きょうじん)化、(5)電力の連結性強化、(6)人・知の連結性強化を通じて、日本とASEANが社会的価値を共有する未来を描いていくと述べた。
(注)2019年の第34回ASEAN首脳会議で採択されたASEAN独自のインド太平洋構想
(尾崎航)
(ASEAN、日本)
ビジネス短信 eb8681ad61a071c3