日本食品輸入販売動向、ALPS処理水の大きな影響見られず

(ミャンマー)

調査部アジア大洋州課

2023年09月14日

ミャンマーで、東京電力福島第1原子力発電所のALPS処理水放出が日本食品輸入販売動向に与える影響について、ジェトロは複数の輸入事業者や日本食を扱うスーパーマーケットなどにヒアリングを行った。

それによると、ミャンマーの日本食品輸入事業者の多くはタイ経由で商品を仕入れている。そのうち、和牛を中心に海産物も直接輸入している事業者によると、顧客の現地レストランなどからも、日本の水産品の取り扱いについて、特に懸念を示す声などはきていないとのことだ。その上で「仕入れは自社が自信をもって直接管理しており、オペレーションにも懸念点はない」という。

現地スーパーマーケットの担当者によると、日本食品の主たる消費者が在留邦人ということも、ミャンマー人からのクレームや懸念の声などがない理由として考えられるという。この担当者は、日本人がALPS処理水の安全性に関する日本政府の説明を信用していることもあり、消費傾向に変化がないと考えられると回答した。

その他、海産物などを高級ホテルなどに卸している事業者からは、「取引先から、ALPS処理水を理由に、日本産品の取引に影響が出るような事例はない」と回答があった。

加えて、ALPS処理水放出に関するミャンマーでの報道ぶりを見ると、現地メディアによる独自の取材内容はほぼなく、日本を中心とした国外通信社の記事を転載した報道となっている(9月12日時点)。具体的には、日本政府の方針説明に加え、中国や韓国などでの抗議行動も含まれるが、事実を淡々と掲載する報道内容となっている。

(アジア大洋州課)

(ミャンマー)

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