中国のアフリカ向け融資が減少、2022年は9億9,448万ドル

(アフリカ、中国、アンゴラ、セネガル、ベナン、コートジボワール)

調査部中東アフリカ課

2023年09月28日

米国のボストン大学が9月18日に発表した調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、中国の2022年のアフリカ各国政府向け融資は9億9,448万ドルにとどまり、2004年以降では最も少なかった。

同大学の推定では、2000年から2022年までに39の中国の金融機関がアフリカの49カ国の政府と7つの機関に対し、合計1,243件、総額1,701億ドルの融資を提供した。これは世界銀行がアフリカ向けに融資した2,642億ドルの約6割相当、アフリカ開発銀行(AfDB)の政府向け融資の369億ドルの約5倍に上るという。

同期間の中国からアフリカへの国別融資では、アンゴラ向けが450億ドル(うち石油などのエネルギー分野が259億ドル)と際立って多い。同期間でセクター別に見ると、エネルギーが599億ドルと最大で、交通が491億ドル、情報通信技術(ICT)が139億ドル、金融サービスが91億ドルと続いた。国別での融資額の順位と最大の融資セクターは次のとおり。

【2000~2022年の国別融資と最大セクター】

  • アンゴラ:450億ドル(エネルギーに259億ドル)
  • エチオピア:141億ドル(交通に53億ドル)
  • ケニア:97億ドル(交通に60億ドル)
  • ザンビア:91億ドル(エネルギーに27億ドル)
  • エジプト:89億ドル(金融サービスに42億ドル)
  • ナイジェリア:80億ドル(交通に46億ドル)
  • スーダン:61億ドル(エネルギーに27億ドル)
  • 南アフリカ共和国:60億ドル(エネルギーに38億ドル)
  • カメルーン:59億ドル(交通に20億ドル)
  • ガーナ:54億ドル(エネルギーに23億ドル)

これまで中国からは、南部アフリカや東アフリカの国への融資が多かったが、2021年と2022年の国別の融資合計額を見ると、セネガル(約9億ドル)が最大で、ベナン(約7億ドル)、コートジボワール(約2億ドル)といった西アフリカの国が上位となった。

中国政府は2013年に習近平国家主席が始めた「一帯一路」構想により、アフリカでの大型インフラ建設などに合せて融資も進めてきた。主な貸し手は中国輸出入銀行(CHEXIM)、中国開発銀行(CDB)、中国銀行(BOC)などだ。アフリカ向け融資は、2016年に285億ドルでピークに達したが、新型コロナウイルス禍以降は融資件数も融資額も減少傾向と推定している。アフリカ向け融資推移は以下のとおり。

【2012年以降の融資推移】

  • 2022年:9億9,448万ドル
  • 2021年:12億ドル
  • 2020年:21億ドル
  • 2019年:85億ドル
  • 2018年:148億ドル
  • 2017年:159億ドル
  • 2016年:285億ドル
  • 2015年:122億ドル
  • 2014年:122億ドル
  • 2013年:180億ドル
  • 2012年:133億ドル

(井澤壌士)

(アフリカ、中国、アンゴラ、セネガル、ベナン、コートジボワール)

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