ガボンのクーデターに対する中国の反応

(ガボン、中国)

アビジャン発

2023年09月05日

アフリカ中西部のガボンで発生したクーデター(2023年8月31日記事参照)に関し、中国外交部の汪文斌報道官は8月30日の定例記者会見で「中国はガボン情勢の進展に細心の注意を払っていく。ガボンの関係当局には、国家と国民の利益を念頭に、対話を通じた平和的な解決、秩序の回復、アリ・ボンゴ大統領の安全の確保を求め、国の平和、安定を維持し、発展を続けられるように呼びかける」と述べた。中国はガボンの最大貿易相手国で、2022年の両国の貿易額は45億5,000万ドルに達し、前年比で約50%増加している。また、中国の対ガボン累積投資額は10億ドルを超えており、国有企業大手30社を含む中国企業60社がガボンに進出している。

2022年に作成された中国の報告書「対外投資合作国別指南」によると、ガボン在留の中国人数は約2,000人。今回のクーデターを受けて、現地の中国大使館は中国のメッセンジャーアプリ「微信(WeChat)」で在留中国人に対し、緊急事態が発生した場合は自宅で待機し、中国大使館に連絡するよう呼びかけている。

中国とガボンは1974年に国交を樹立し、2016年にはボンゴ大統領が訪中して包括的な協力パートナーシップを結んでいる。それ以降、両国関係は緊密化し、貿易、投資、技術協力、開発援助など広範囲に相互協力が進められてきた。現在、中国企業は道路、通信、電力、住宅建設などさまざまな分野でインフラ開発を手掛けるほか、資源輸出分野で積極的に投資を行っている。

中国企業によるインフラ開発としては、首都リーブルビルのキングスベイ新都市開発、ガボン南東部オゴウェ川のグラン・プバラ水力発電所の建設のほか、複数の高速道路や総合体育館、職業教育センターなどの建設が挙げられ、中国電力建設集団、中国建築集団、中国能源建設集団、中国路橋工程、中国港湾工程、中国航空工業集団などが開発に参加している。また、投資については、中国石油化工集団、中信大錳鉱業、大連国際海洋漁業、中国誠通集団など数十社が石油、鉱業、林業、水産業部門への投資を行い、同国の輸出に貢献している。中国企業は現地に大規模製材工場を建設し、同国の木材産業の発展にも貢献してきた。こうした両国の長期にわたる協力関係と良好な貿易関係から、中国メディアは今回のクーデターが中国企業に及ぼす影響は限定的だろうと予測している。

(藤本海香子)

(ガボン、中国)

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