米国、モンゴルと重要鉱物協力の覚書締結、韓国含めた3カ国協議も開催
(米国、モンゴル、韓国)
ニューヨーク発
2023年06月28日
米国国務省は6月27日、モンゴルと重要鉱物での協力に関する覚書を締結した。また、韓国を含めた3カ国はモンゴルの首都ウランバートルで、第1回となる重要鉱物に関する協議を開催した。
国務省は覚書締結の目的として、インド太平洋における安全で強靭(きょうじん)な重要鉱物のサプライチェーンの促進を挙げている。覚書には、世界レベルでのクリーンエネルギーへの移行に不可欠な、モンゴルの鉱物資源分野への投資を活性化させるための同国の努力を後押しする技術的支援に関する枠組みを含むとしている。また、この取り組みを通じて、米国からの民間投資も促進していくという。ただし、ターゲットとする鉱物の種類や、技術用途についての言及はない。エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)公開のデータによると、モンゴルの主要な鉱産物は、銅、モリブデン、金、蛍石となる。また、最近ではフランスのエマニュエル・マクロン大統領が5月にモンゴルを訪問しており、同国への重要金属の供給で協力すると発表している。協力内容としては、モンゴルでウラン鉱山を開発しているフランスの原子力企業オラノとの提携がカギになるとされる(ロイター5月21日)。
初開催となった米国・モンゴル・韓国重要鉱物協議は各国担当省庁の次官レベルが参加し、官民協力と官官協力をテーマに議論を行った。官民協力では、モンゴルの重要鉱物資源の現状と将来性や、世界におけるコモディティー市場の傾向と投資状況を中心に情報交換を行った。官官協力では、世界の重要鉱物需要に応える上でのモンゴルの重要性を強調するとともに、課題や機会、連携や情報交換、共同事業の実施について議論を交わしたとしている。今後、各国の専門家が議論のフォローアップを行う予定だ。
バイデン政権は、先端製造業に不可欠とされる重要鉱物の安定確保に向けて、複数国間および2国間の協力枠組みの立ち上げを積極的に進めている。複数国間では、2022年6月に鉱物資源安全保障パートナーシップを10カ国(注)およびEUと立ち上げた。電気自動車(EV)バッテリーに関連したものでは、1月にコバルトの主要生産国のコンゴ民主共和国およびザンビアと協力覚書を締結(2023年1月25日記事参照)、日本との間でも3月に重要鉱物のサプライチェーン強化のための協定を締結した(2023年3月29日記事参照)。英国とも、同様の協定締結に向けて交渉を開始している(2023年6月9日記事参照)。
(注)参加国は米国のほか、オーストラリア、カナダ、フィンランド、フランス、ドイツ、日本、韓国、スウェーデン、英国。
(磯部真一)
(米国、モンゴル、韓国)
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