全米自動車労働組合(UAW)、GMとステランティスでストライキ拡大

(米国)

シカゴ発

2023年09月25日

全米自動車労働組合(UAW)のショーン・フェイン会長は9月22日、ソーシャルメディア上で、ゼネラルモーターズ(GM)とステランティスでストライキを拡大すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。新しく定めた交渉期限である9月22日(金曜日)の正午までに、GMとステランティスとの交渉で進展がなかったことが理由だ。これによって、2社の20州にわたる38カ所の部品配送拠点で、約5,600人の従業員がストライキに参加し、業務が停止した。この部品配送拠点は、顧客の車の修理に使われる部品を梱包(こんぽう)して出荷するため、自動車ディーラーは、今回のストライキの拡大によってサービス業務に支障をきたす可能性がある。

一方、UAWはフォードとの交渉には実質的な進展があったとしており、同社のミシガン州の組み立て工場でのストライキは継続しているものの、他の工場には拡大はしなかった。UAWは同社との交渉で、従業員を二分する給与体系の廃止、賃金をインフレ率と連動させる生計費調整(Cost of Living Adjustment, COLA)の復活、無期限解雇が行われた場合の組合員の雇用保障などの条件を獲得した(注)と発表している。なお、フォードは交渉の合意内容は発表しておらず、「いくつかの分野では前進しているが、重要な財政的な問題についての交渉にはまだ大きな隔たりがある」としている。

今回のストライキによる影響は、まだ限定的ではあるものの、自動車部品サプライヤーなどにも従業員の解雇をするなどの影響が出始めている。また、U.S.スチールのイリノイ州の工場では、ストライキで需要が軟化しているとして、高炉の1つを一時的に休止し、一部の作業を他の施設にシフトした。また、従業員の一時解雇も段階的に始まるだろうとしている(シカゴ・トリビューン9月20日)。

なお、ジェトロが個別に数社の在米日系自動車部品メーカーにヒアリングしたところ、現時点では、在米の日系サプライヤー企業への影響は限定的だったが、各社とも今後の行方を注視していた。

ジョー・バイデン米国大統領は9月22日、UAWを支援するため、9月26日にミシガン州を訪問するとX(旧ツイッター)へ投稿した。ドナルド・トランプ前大統領は翌27日に同州を訪問すると発表していた(2023年9月20日記事参照)。

(注)UAWの要求は、新たに雇用された労働者の賃金を低く設定する従業員を二分する給与体系の廃止、賃金をインフレ率と連動させる生計費調整(Cost of Living Adjustment, COLA)、4年間で36%(交渉開始時は40%)の昇給、電気自動車(EV)への移行に伴う雇用の確保など(2023年7月18日記事参照)。

(星野香織)

(米国)

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