非居住者の対内投資促進に向けオンライン導入へ
(バングラデシュ)
ダッカ発
2023年09月04日
バングラデシュ中央銀行は8月10日、非居住投資家(注1)向けの通貨タカ建て口座(Non-Resident Investor’s Taka Account:NITA)を通じた国外からの外貨によるポートフォリオ投資(注2)促進のため、市中銀行に対し、顧客と双方向型のコミュニケーションが可能なオンライン・プラットフォームの構築を促す通達を発出した。
この措置は、非居住投資家の中でもとりわけバングラデシュ国籍者(Non-Resident Bangladesh nationals:NRBs)からの対内投資促進が目的とされている。中銀が公開している対内投資資料によると、バングラデシュの2022年末時点のポートフォリオ投資(暦年ベース、ストック)は25億7,752万ドルと、前年末の36億74万ドルから大きく減少(28.4%減)した。NITAを通じた対内投資は国外から当地のスタートアップ(SU)に出資をする際(SU側からみれば、国外から資金調達する際)の手法の1つでもあり(2023年5月30日付地域・分析レポート参照)、さらに、昨今の外貨不足が課題となっている市中銀行にとっては、重要な外貨獲得の手段となり得る。
地場銀行大手ユナイテッド・コマーシャル・バンク(UCB)でマネーロンダリング対策部門の責任者を務めるコンドカル・ムスタク・アーメッド氏はジェトロのインタビューに対し、「NITAを通じた対内投資は主として、NRBsによって行われており、市中銀行にとっても重要なサービスの1つだ。当行では、今回の措置を受けた具体的な対応策の検討はこれからだ」と話している(8月30日)。
(注1)国外在住のバングラデシュ国籍者を含む非居住者の個人、法人を指す。
(注2)非居住投資家によるバングラデシュの株式市場、債券市場への対内証券投資を指す。当該投資家が銀行間手続きによってバングラデシュに外貨を送金し、同送金額が当地の取引銀行によってタカに両替されることで、NITA口座の開設・運用が可能となる。
(山田和則)
(バングラデシュ)
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