インドネシア食品卸売り、ALPS処理水の影響は限定的

(インドネシア)

ジャカルタ発

2023年09月28日

ジェトロがインドネシアで9月8日から25日まで行った現地の主要な日本の水産品関連の卸売業者数社に対するヒアリングによると、日本の水産品に対する外部からの問い合わせを受けた卸売業者は1社にとどまった。スーパーマーケットなどの一般利用客からも、日本の水産品への心配の声は聞かれなかった。問い合わせを受けたという卸売業者についても、今後の取引に影響を及ぼすような仕入れキャンセルなどにつながる内容ではなかったという。東京電力福島第1原子力発電所のALPS処理水放出に起因する水産品の輸入販売ビジネスに対する影響は見られないようだ。

インドネシアでは、ALPS処理水の海洋放出を受け、同国原子力規制庁が8月30日に声明を発表している。声明では「福島第1原子力発電所の管理者が、放出する処理水中のトリチウム含有量が所定の値以下であることを保証できる限り、人間や環境に悪影響を与えることはないとの見解を示した」と説明している。(2023年9月4日記事参照)このような状況の中、現地卸売業への影響は現時点ではほぼ見られない。

9月6日付のCNBCインドネシアは、ルトノ・マルスディ外相が9月5日から7日にかけて行われたASEAN首脳会議・関連会合で「日本政府は科学的な段階を経た上でALPS処理水の放出を決定した。日本政府はまた国際原子力機関(IAEA)が提供するガイドラインを順守している」と発言したと報じている。

(中村一平、町井健太郎、リスナ・リザル)

(インドネシア)

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