インドネシア原子力規制庁、ALPS処理水放出に関する声明発表

(インドネシア)

ジャカルタ発

2023年09月04日

インドネシア原子力規制庁(BAPETEN)は8月30日、日本が8月24日から東京電力福島第1原子力発電所のALPS処理水を海洋へ放出したことを受け、「日本の福島第1電子力発電所からの処理水放出に関するBAPETENの声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますと姿勢」を発表した(仮訳は添付資料を参照)。声明の要旨は次のとおり。

  • インドネシアの原子力利用監視機関の原子力規制庁(BAPETEN)は、国際原子力機関(IAEA)の加盟機関として、日本がALPS処理水の海洋放出を決定したことにかかる動向を注視している。
  • 7月4日にIAEAのラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長が岸田文雄首相に提出した公式報告書で、IAEAは処理水の放出は人体や環境に放射線学的影響を与えないと発表した。この報告書は11カ国の原子力専門家で構成するIAEAタスクフォースによる2年近い作業の結果だ。
  • 日本は、放出する処理水中のトリチウム濃度上限を世界保健機関(WHO)が定めた飲料水の基準値(10,000Bq/L)の7分の1に相当する1,500Bq/Lに定めている。福島第1原子力発電所の管理者が定期的に実施するサンプリングの結果、処理水中のトリチウム濃度は上記基準値を下回っている。
  • 日本は年間のトリチウム放出量の上限を年間22兆Bqと定めている。これは、世界の原子力発電所の運転時におけるトリチウムの年間平均放出量よりも低い。
  • BAPETENのインドラ・グナワン法律・協力・広報局長は同庁の代表として、福島第1原子力発電所の管理者が、放出する処理水中のトリチウム含有量が所定の値以下であることを保証できる限り、人間や環境に悪影響を与えることはないとの見解を示した。

また、インドネシア海洋水産省のマクムド海洋漁業競争力強化総局長は、処理水放出が両国間で取引される水産物に与える影響について、調査を実施していると述べている(「コンパス」8月28日)。

(八木沼洋文)

(インドネシア)

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