広東省深セン市、個人所得税優遇策の申請開始、資格基準は厳格に

(中国)

広州発

2023年09月19日

中国の深セン市財政局と人力資源社会保障局、科技創新委員会、税務局は9月6日、「深セン市の高度外国人材、不足人材の2021年と2022年の個人所得税財政補助申請指南」を発表した。

広東・香港・マカオグレーターベイエリア(粤港澳大湾区)での個人所得税の優遇措置については、2021年と2022年の申請要綱は発表されていなかった(2023年7月4日記事参照)。今回、深セン市が広東省内9都市の中で初めて申請方法を発表した。9月13日現在、深セン市以外の都市で発表しているところはない。

高度外国人材に関して、今回の申請の資格基準は以下のとおり。6つの条件のうち少なくとも1つの条件に合致し、かつ深セン市の科学技術イノベーション、重点発展産業、あるいは哲学・社会科学領域の業務に従事していることが必要となる。申請に当たってのそのほかの条件などは指南外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに記載されている。

  1. 国家、省、市の重点人材プロジェクトに選ばれた人材。
  2. 国家、省、市が認定した高度外国人材。
  3. 広東省の「人材優粤カード外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を取得した人材。
  4. 深セン市の「鹏城優材カード」を取得した人材。
  5. 外国人工作許可証の高度外国人材(A類)を所持する人材。
  6. 外国高度人材確認書、広東省外国高度人材確認書、または広東省香港、マカオ、台湾外国高度人材確認書を保持する人材。

5.については、これまでA類や外国専門人材(B類)の人材ならば申請可能だったが、今回の発表でA類のみとなった(ただし、A類であっても、「平均給与所得が前年度の深セン市社会平均給与所得の6倍以上」という認定基準で取得した人材は除く)。申請するには、それ以外の認定基準(詳細はジェトロの別紙レポート参照PDFファイル(154KB))を満たす必要があるため、実質的な申請基準のハードルは上がっているといえる。

申請期間は9月1~30日。申請方法は、まず広東省統一身分認証プラットフォーム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでアカウントの登録と認証を行い、関連書類を提出して申請を行う。申請は5営業日以内に受理・不受理が決定され、予備審査は30日以内に行われる。

審査結果に異議がある場合、通知を受けた日から7日以内ならば、申請者は異議申し立てが可能。異議申し立てを受けた機関は受理後15日以内に審査し、審査結果を申告者に通知する必要がある。また、補助金額に不服がある場合は、通知を受けた日から15日以内ならば、申請者は再計算の申請ができ、受理機関は60日以内に再計算を行った上で再通知を行う。

(注)優秀な人材を誘致するため、2018年に広東省政府と深セン市政府はさまざまな「人材プログラム」で招致した人材に、特別な住民カードを発給している。カードが発給されると、無料でマンションに入居できるほか、ナンバー登録規制に縛られない自動車の購入、指定銀行から無担保での資金借り入れなどが可能となる。

(田中琳大郎)

(中国)

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