広州市、大湾区の個人所得税優遇に関する意見募集稿を発表

(中国、香港、マカオ)

広州発

2023年07月04日

中国の広州市財政局は6月26日、「広東・香港・マカオグレーターベイエリア(以下、大湾区)の個人所得税優遇政策の実施に伴う財政補助の管理弁法(2023年改正)」の意見募集稿を発表した。

大湾区の個人所得税優遇政策に関しては、華南地域の日系企業の関心が非常に高く、毎年、広州市、深セン市、東莞市政府がビジネス環境改善を目的として開催している意見交換会において、日系企業からの改善要望事項として提起されていた。一方、2023年7月現在で、2022年(2021年度納税分)の申請の要綱は、発表されていない。

今回の意見募集稿では、2020年納税分の遡及(そきゅう)、および2021年度と2022年度納税分に関する申請が対象となる。また、対象となる申請者は以下のとおり。

1.資格:

香港とマカオの永住者、香港の人材計画(優秀人材、専門人材、事業家)の対象者となる香港の居住者、台湾居住者、外国籍者、中国国外の長期居留権を所持している帰国留学生と華僑。

2.労働条件:

a.申請者は課税年度に広州で登記されている企業または組織に勤務、もしくは個人で役務を提供している。

b.課税年度中に広州での勤務日数が90日以上ある。

c.広州市で個人所得税を納付している。

また、優遇措置の認定を受けるためには、「高度人材」または「人材不足」のいずれかを満たす必要がある。それぞれの要件は以下のとおり。

  1. 高度人材:外国人工作許可証(A類)、外国高度人材確認書、「珠江デルタ自主革新モデル区9市および掲陽中独金属生態城(注)外籍人員/香港・マカオ・台湾高度人材確認書」および国家、広東省、広州市により認定されたその他の高度人材であること。また、広州市の科学技術革新、哲学社会科学分野の部門に勤務、もしくは広州市が指定している重点発展産業とその生産・製造に関わるサービス業、科学技術サービス業の部門に勤務する中高級管理職や生産技術の中心的な人材
  2. 人材不足:広州市の科学技術革新、重点発展産業、哲学社会科学などの分野に従事する技術基幹人材、技能基幹人材、中高級管理人材。

なお、「人材不足」に関しては、当該年度の課税所得が30万元(約600万円、1元=約20円)以上となる必要がある。

納税者1人当たりの補助金の上限額は500万元(毎年)で、100万元を超える場合は「個人所得税優遇申告登録書」を提出する必要がある。

今回の募集稿に対する意見募集は7月5日まで。提出方法は以下のとおりとなる。

(注)掲陽中独金属生態城:広東省掲陽市における中国とドイツが共同で設立した工業園区。主に省エネ・環境保護、先進設備製造、金属製品を3大産業としている。

(田中琳大郎)

(中国、香港、マカオ)

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