タイのセター首相、施政方針を発表
(タイ)
バンコク発
2023年09月22日
タイのセター・タビシン新首相は9月11日、施政方針を国会に提出した。公表された施政方針によると、喫緊に取り組む主要政策の1つは、1万バーツ(約4万2,000円、1バーツ=約4.2円)のデジタルウォレット配布だ。本政策は消費の拡大を通じて、雇用機会の創出、投資の促進など経済循環を促す刺激となり、政府には税金というかたちで還元されるとしている。
その他、喫緊に取り組む政策として、農家や中小企業などの債務問題への対処があり、政府は農家、中小企業の債務返済猶予を実施する。また、クリーンで再生可能なエネルギーを促進しながら、エネルギーコストも削減する。加えて、観光客のビザ免除、MICE(企業などの会議、報奨・研修旅行、国際会議、展示会・イベント)参加者向けのファストトラックビザ導入、空港とフライトの収容能力の改善などの政策を実施し、さらなる観光収入を生み出す。最後に、憲法の改正にも着手するとしつつも、セター首相は王室に関する項目については変更しないことを強調した。
国会質問の中で、前進党のシリカンヤー・タンサクン副党首は、政府の施政方針は不明瞭で明確な実施時期を欠いていると批判。デジタルウォレットのような重要な政策における財源や政策の効果についても、疑問を投げかけた。さらに、民主党のジュリン・ラクサナウィシット氏は、タイ貢献党が選挙前に公約としていた学士号取得者の最低給与2万5,000バーツやバンコク市内の電車BTS(スカイトレイン)の一律20バーツ運賃などの政策が、施政方針の中で明確に詳しく説明されていなかったと指摘した(9月11日タイ国営放送)。
(ピンラウィー・シリサップ、藤田豊)
(タイ)
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