2023年第2四半期GDPはゼロ成長、スイス経済は停滞

(スイス)

ジュネーブ発

2023年09月08日

スイス連邦経済省経済事務局(SECO)は9月4日、2023年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率(注1)を前期比0.0%(季節、スポーツイベント調整後、注2)と発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(添付資料表1参照)。製造部門は落ち込んだが、サービス部門は再び過去平均を上回った。

第2四半期のGDP成長率を需要項目別にみると、情報技術、研究開発、自動車など広範囲にわたる投資が減少し、設備投資は前期比3.7%減と落ち込んだ。建設投資も0.8%減と減速した。一方で、政府消費支出は0.1%増、個人消費支出は0.4%増とともに伸びた。個人消費支出の伸びは、住宅、保健衛生、宿泊・飲食サービス関連分野の増加に支えられたかたちだ。製造部門の縮小により、財貨の輸出は1.2%減となったが、サービスの輸出の増加(2.6%増)と財貨・サービスの輸入の減少(3.7%減)がこれを相殺し、経済成長にプラスに寄与した。

産業別にみると、前期に好調だった製造業が2.9%減と落ち込んだ(添付資料表2参照)。要因として、2015年から2022 年まで高成長を続けた後、横ばい傾向にあった化学・医薬品産業の著しい落ち込み(2.3%減)や、世界経済減速の影響を受けた機械・金属工業分野の停滞などが挙げられるとした。建設業も全ての分野で収益が減少し、0.7%減と低迷した。一方で、個人消費の伸びに後押しされ、サービス部門は全般的に伸びた。宿泊・飲食サービス業は5.2%増と急伸し、個人消費に加えて外国人観光客の増加が寄与した。保健衛生・社会事業、ビジネス関連サービス業、芸術・娯楽・リクリエーション業はそれぞれ0.8%増、0.7%増、0.7%増と伸びた。運輸・通信業は、旅客輸送の増加が物資輸送の低迷によって相殺され横ばいとなったが、金融・保険業は0.3%と微増し、金融サービス輸出の増加を受けて手数料ビジネスの回復の兆しが見られた。卸売・小売業は、小売業が0.4%減となったものの好調な卸売りと自動車販売に支えられ、2.1%増となった。

(注1)スイス国立銀行(SNB)は、2023年第1四半期に新たな統計調査を導入し、統計調査はスイス国民経済統計のさまざまな計算過程で使用されるため、第2四半期を含む今後の数四半期の統計は後日、大幅に修正される可能性がある。

(注2)全て季節調整値。ただし、「GDP」「サービス輸出・輸入」「芸術・娯楽・レクリエーション業」については、季節調整に加えてスポーツイベント調整後の数値。

(竹原ベナルディス真紀子)

(スイス)

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