バイデン大統領が米政府閉鎖が生じた場合の影響について声明を発表

(米国)

ニューヨーク発

2023年09月21日

米国のジョー・バイデン大統領は9月20日、米国政府閉鎖の可能性が高まっていることに関し、声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。共和党保守派(フリーダムコーカス)が2024会計年度予算をめぐり6月に成立した財政責任法の枠組み(2023年6月5日記事参照)を超える大幅な歳出削減の要求を考慮したものだ。

声明では、フリーダムコーカスの主張に関し、「食品の安全性や教育、執行機関、住宅、公衆衛生、貧困家庭など向け就学支援(ヘッドスタート)や保育、高齢者向け食事宅配サービス(ミールズ・オン・ホイール)などを壊滅的かつ無差別に削減するものであり、災害支援のために要求した緊急資金の拠出も不可能にするものだ」とし、何百万人もの家庭や高齢者が頼みとしているプログラムの削減や、その他のイデオロギー的な要求の数々には同意することができないと批判した。

その上で、政府閉鎖が生じた場合には、(1)軍人や行政官に無給で働かせることを強制することになる、(2)連邦緊急事態管理庁(FEMA)の災害救援基金が枯渇する可能性を高め、災害救援活動を阻害することになる、(3)がんやその他の疾患に関する研究が停滞する、(4)ヘッドスタートへの助成ができなくなり1万人の子供たちがその支援を受けられなくなる、(5)航空管制官や空港職員らが無給となるため、空港での大幅な遅延リスクが生じる、(6)飲料水の検査やフッ素化合物(PFAS)などの有害廃棄物への対処などが停滞し、公衆衛生と環境保護を損なう、(7)中小企業庁による新規融資の審査・承認ができなくなり、中小企業が資金源を失う、(8)食品安全性検査が遅延する、(9)内務省や環境保護庁による審査が遅れ、全国のインフラプロジェクトに遅延が生じるほか、農務省による地方部への公共インフラへの融資や助成金が交付できなくなる、(10)労働安全衛生局が労働環境に関する検査を制限せざるを得なくなり、労働者を安全リスクから守れなくなる、などの影響が出るとし、下院共和党議員に対して以前に締結した予算枠組みを順守し、政府閉鎖を回避するよう呼びかけた。

なお、政府閉鎖を回避するべく、下院共和党内ではつなぎ予算についても議論されているが、依然として党内の隔たりは大きく、予断を許さないもようだ(ロイター9月19日)。

(加藤翔一)

(米国)

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