アフリカ気候サミット開催、議論の中心はファイナンスの拡充など

(ケニア、アフリカ)

ナイロビ発

2023年09月25日

ケニアの首都ナイロビで9月4~6日の間、アフリカ気候サミットが開催された。アフリカ連合(AU)の主催で、4日は主に閣僚級セッション、5日は元首級セッション、6日は成果文書となるナイロビ宣言PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が発表された。

5日の元首級セッションには、ウィリアム・ルト大統領やムサ・ファキAU委員長のほか、アフリカ15カ国の元首級が参加した。アフリカ域外からは、グテーレス国連事務総長や、EU・欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長、ジョン・ケリー気候変動担当米大統領特使、アラブ首長国連邦のスルターン・ア=ル・ジャーベルCOP28(国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議)議長などが参加した。ケニア政府によると、参加者数は延べ約1万人にのぼる。

アフリカ諸国の二酸化炭素(CO2)排出量は世界の約4%にすぎず、気候変動対策は先進国の責任とする考えも根強い。今回の会議では、欧米が開催準備から深く関与した。そのため議論の中心は、アフリカ側が求める気候変動に伴う天災などによる損失補償よりも、再生可能エネルギーや水素などのプロジェクトにかかるファイナンスの増加や、排出権市場の活性化だった。これに対して、NGOや一部のメディアは「西側諸国の乗っ取りだ」として、抗議・批判の声を多くあげた。また、一部の現地紙は、ウガンダのヨウェリ・ムセベニ大統領が欧米諸国との同席を拒み不参加となったことや、ナイジェリアと南アフリカ共和国の元首が不参加だったことなどを報じている。

最終日に発表されたナイロビ宣言は、アフリカは歴史的に地球温暖化の責任を負っているわけではないが、その影響の矢面に立たされていると指摘した。一方、アフリカには気候変動に対する世界的な解決策となる可能性と野心がある点が強調された。その可能性を生かすためにも、気候変動対策へのファイナンスの量と質の両面での増加、アフリカの債務問題の解決やファイナンスコストの削減、国際金融取引税や排出税を含む世界的な税制の導入を訴えた。

(佐藤丈治)

(ケニア、アフリカ)

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