英国がEUの研究開発プログラム「ホライズン・ヨーロッパ」に参画へ

(英国、EU)

ロンドン発

2023年09月11日

英国政府は9月7日、EUの研究開発支援プログラム「ホライズン・ヨーロッパ」に参画することで欧州委員会と政治合意したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。英EU間の通商・協力協定(TCA)で、プログラムへの参加は原則合意していたものの、アイルランド・北アイルランド議定書を巡る対立の中で、EU側が承認を拒否しているとされていた(2022年11月30日記事参照)。2023年2月のウィンザー・フレームワークに関して合意(2023年2月28日記事参照)したことで、北アイルランド問題に進展が見られたことが今回の合意につながったとみられる。これにより、同日から、英国に拠点を置く科学者や研究機関は、他のEU域外からの参加国の研究者と同じ条件で、2024年以降のプログラムへ資金申請が可能となった。

ホライズン・ヨーロッパは、EUの研究開発支援プログラムとして、医療、デジタル、宇宙、気候変動・エネルギー、モビリティ、食料安全に至るまで、幅広い問題に焦点を当てた国際共同研究を支援している。今回の参画により、EUだけでなく、同プログラムに参加しているノルウェー、ニュージーランド、イスラエル、さらには韓国やカナダといった参加を検討する国々との協力の可能性が開かれることになる(注)。

また同日、英国は、EUの地球観測プログラムであるコペルニクスに参加することも表明。これにより英国政府は、例えば洪水や火災の早期警報に役立つ貴重なデータをコペルニクスから入手できるようになるほか、3年間アクセスできなかったコペルニクス関連の入札への参加も可能となる。

一方で、EUの核融合などの原子力分野の研究・イノベーションに関する欧州原子力共同体(Euratom)のプログラムには参加せず、英国内の核融合に関する新しい研究開発プログラムを導入予定と発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同プログラムには2027年まで最大6億5,000万ポンド(約1,189億5,000万円、1ポンド=約183円)が支援され、核融合燃料サイクルに関する新施設や教育プログラム、核融合の商業化推進が計画される見込み。詳細については、秋以降に発表予定とされている。

(注)ホライズン・ヨーロッパは研究開発での国際協力を重視しており、これまでのEUの研究開発支援枠組みと同様、一定の条件付きでEU域外国の企業や団体の参加が可能(2021年3月17日記事参照)。

(松丸晴香)

(英国、EU)

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