タイ中銀の7月経済金融報告、タイ経済は回復を維持するも、輸出は低調

(タイ)

バンコク発

2023年09月08日

タイ中央銀行(BOT)は2023831日、7月の月例経済金融報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。7月のタイ経済は引き続き回復を維持した。民間支出は消費、投資ともに増加し、特に大型連休が消費の拡大に寄与した。また、外国人旅行者数(季節調整済み)も拡大した。他方、財輸出は貿易相手国の需要低下、電子製品や農業製品の落ち込みなどにより、縮小した。

工業生産指数は、前年同月比4.4%減となったが、前月比(注)では0.9%増加した。項目別では、砂糖の生産増加に伴って食料・飲料が前月比3.1%増に、また自動車のうち商用車が同9.2%といずれも拡大した。また、タイヤ生産が回復し始めたことから、ゴム・プラスチックも同2.5%増となった。他方、HDDや家電製品などは前年比、前月比ともに減少した。

需要面について、民間消費指数は前年同月比7.3%増、前月比1.0%増となった。特にサービス消費、非耐久財の消費が拡大した。大型連休も寄与し、ホテル、レストランなどでの消費が拡大した。民間投資は前年同月比1.4%増、前月比1.4%増となった。建設資材の売り上げ増や建設許可面積が拡大するなどにより、建設投資が増加した。

財輸出(金を除く)は前月比で1.8%減、前年同月比は4.5%減とともに縮小した。特に香港、中国向けHDDや中国、ASEAN向けの化学製品の減少、青果ではドリアンの旬が終わったことによる出荷縮小が影響した。一方で、半導体不足の緩和により、自動車の輸出は伸張した。

7月の外国人観光客数は249600人となり、前月比では0.9%増加した。ロシア、中国、日本、米国からの観光客数が伸びた。一方で、オーストラリア、シンガポール、欧州からの観光客数は微減となった。

なお、地元報道によれば、セター・タビシン首相は、回復の遅い中国人観光客数の増加を加速させるため、中国人観光客向けにビザを無料化することを検討している(ネーション紙91日)。

(注)前月比は季節調整済みの数値。

(藤田豊)

(タイ)

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