8月の郷里送金は前年同月比21.5%減

(バングラデシュ)

ダッカ発

2023年09月11日

バングラデシュ中央銀行は、8月単月の郷里送金額は前年同月比21.5%減の15億9,945万ドルと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(添付資料表参照)。当地では、イスラム教の祭典「犠牲祭(Eid ul-Adha)」(注)に向けて、出稼ぎ労働者による故郷への送金が増加する反動で、犠牲祭の翌月には送金が減少する傾向がみられ、実際に2023年7月は19億7,315万ドル(前月比10.3%減、前年同月比5.9%減)に減少していたが(2023年8月18日記事参照)、8月は前月比でさらに18.9%減の落ち込みとなった。

統計に反映されない違法な送金も依然として大きな懸案で、政府は送金受け取り時の現金インセンティブ(2.5%)や、モバイルファイナンスや銀行経由による正規の送金を促すための規制緩和を継続している(2023年1月12日記事参照)。一方で、中銀は市場原理に基づく変動相場制による単一の為替制度導入を予定しており(2023年8月4日付地域・分析レポート)、さらなる通貨タカ安の進行を見越して、送金を控えていることが背景にあるとの見方もある(「フィナンシャル・エキスプレス」紙9月3日付)。

中銀の「郷里送金に係わる四半期報告」資料の最新版(2023年4~6月版)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、2022/2023年度(2022年7月~2023年6月)第4四半期(2023年4~6月)の同送金のうち、約8割は商業銀行、2割は国営銀行を経由している。商業銀行の中では、ブラック・バンク(BRAC Bank)を通じた送金額が最も多く、同期間に2億5,855万ドル(前年同期比2.1倍)の入金を記録している。同銀行で金融市場部門の市場セクター長を務めるフォジア・ラーマン氏はジェトロのインタビューに対し、「当行では特に郷里送金の促進に力を入れており、特に送金元となる中東をはじめとする国外各国の送金事業者(エクスチェンジ・ハウス)との連携による送金プロセスの効率化や、同プロセスの管理強化の取り組みが送金増につながったと考えられる。当行も9月の送金額は減少する可能性があるが、2023/2024年度全体では送金額の増加を期待している」と話す(9月7日)。

(注)バングラデシュ政府が毎年、イスラム歴に基づいて日程を決定。2023年の犠牲祭は6月27日~30日だった。

(山田和則)

(バングラデシュ)

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