ホーチミンで地場企業がマグロ解体ショー開催、日本産水産物の魅力を発信

(ベトナム)

ホーチミン発

2023年09月25日

水産物の輸入・卸売り、飲食店経営を行うベトナムの地場企業ヤマナカマートは92日、同社がホーチミン市内で運営する和食レストランSHOKU(注1)で、愛媛県宇和島産ブランドの養殖本マグロ「だてまぐろ」(注2)の解体ショーを実施した。マグロ解体の実演は、愛媛県立宇和島水産高等学校の高校生によって構成される「フィッシュガール」(注3)が行い、90人を超える常連客や寿司(すし)ファンがイベントに参加した。

写真 和食レストランSHOKUの外観(ジェトロ撮影)

和食レストランSHOKUの外観(ジェトロ撮影)

ジェトロのヒアリングに対して、同社のファン・バン・ラン社長は、2015年のジェトロ主催の輸出相談会で、カキやホタテの卸・加工を行うヤマナカ(宮城県)と出会い、宮城県産のカキをはじめ東北産水産物のベトナムへの販路を開拓した。直近5年間は東北産に限らず、日本各地の水産物や水産加工品に幅を広げている。現在、毎月10本の「だてまぐろ」のほか、北海道産ウニ、天然魚や四国産の養殖魚(マダイ、シマアジ、カンパチ、ブリ、ヒラメ)を輸入し、ホーチミン市内や地方都市へ卸している。ラン社長は、今後も月1回のペースでホーチミン市のほか地方都市でも日本産水産物のプロモーションを実施し、ベトナムにおける日本産水産物のさらなる普及に意気込んでいる。

農林水産省が公表した「農林水産物・食品の輸出実績」によると、2022年の日本からベトナムへの水産物輸出額は204億円で、日本からベトナムへの農林水産物・食品の輸出額の約3割を占める。そのうち、かつお・まぐろ類の輸出(注4)は2012年の8億円から2022年には16億円へと倍増した。

さらに、ベトナム国内のレストランの情報を掲載するウェブサイト「Foody.vn」によると、2023年9月時点で、ホーチミン市内で寿司を取り扱っている店舗数は1,132店に上り、近年増加している。

バイヤーからの日本産水産物の需要の高まりとともに、ベトナムにおける水産物の輸入は年々増加しており、日本産水産物のさらなる輸出拡大が期待される。

写真 SHOKUオーナーのラン社長(右)(ジェトロ撮影)

SHOKUオーナーのラン社長(右)(ジェトロ撮影)

写真 解体ショーを実演した宇和島水産高等学校の山下羅衣さん(左)と土居三貴さん(右)。初の海外遠征に臨んだ(ジェトロ撮影)

解体ショーを実演した宇和島水産高等学校の山下羅衣さん(左)と土居三貴さん(右)。初の海外遠征に臨んだ(ジェトロ撮影)

(注1)ホーチミン中心部の1区レタントン通り近くに立地する現代日本料理をコンセプトにしたカジュアルレストラン。

(注2)「だてまぐろ」は、辻水産が愛媛県の宇和海で36カ月以上育成した養殖本マグロを指す。商標登録は辻水産で、「だてまぐろ」はブランドネーム。

(注3)愛媛県立宇和島水産高等学校の部活動。2012年設立。県内はもとより日本の大都市圏、さらには海外でも活躍の場を広げ、養殖マグロの解体ショーや愛媛県産水産物を利用した加工食品の開発、魚食の実演を通じ、県内で養殖された魚をPRする役割を担っている。「フィッシュガール」は商標登録。

(注4)かつお・まぐろ類の日本からの輸出は加工用も含まれている。

(河西朝子)

(ベトナム)

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