日本語能力試験応募者数が初の5,000人超え

(バングラデシュ)

ダッカ発

2023年09月08日

バングラデシュ日本留学同窓生協会(JUAAB)によると、72日に実施された日本語能力試験(以下、JLPT)の応募者数が初めて5,000人を超え、過去最高を記録した(添付資料表参照)。

当地の日本語教師会事務局長で、志&和子ブイヤンジャパニーズカルチュラルセンターの岡林邦明校長は「受験者数増加の要因は、日本での就労機会の増加にある。日本語学習者の主な目的は日本渡航であるため、JLPT受験者数と在留資格交付率は相関関係にある」と話す(インタビュー8月21日)。

過去には、2019年に「留学」の在留資格証明書の交付率が審査厳格化により前年比で急減したことを受け、同年7月および12月のJLPT受験者数が減少したことがある。その後、新型コロナ禍の2020年と2021年は、JLPTが通常年2回実施されるところ、12月のみの開催だったため受験者数は減少した。しかし、2021年2月に在留資格「特定技能」に係る協力覚書が日本とバングラデシュの間で締結され、日本での就労機会の拡大が見込まれたことなどを受け、2022年と2023年の受験者数は大きく増加した。

出入国管理統計によると、留学・技能実習・特定技能のいずれかの在留資格を持つ新規入国者数は、2018年に1,178人(留学:1,137人、技能実習:41人)だったのに対し、2022年には3,953人(留学:3,609人、技能実習:341人、特定技能:3人)にまで増加している。特定技能は、原則、JLPTのN4レベル(注1)以上の合格、もしくは国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-basic)でA2レベル(注2)相当以上を取得することが必須条件であるため、今後、特定技能での入国が本格化するにしたがって、日本語学習者およびJLPT受験者のさらなる増加が期待される。

一方、国際交流基金による海外日本語教育機関調査(2021年度実施)によると、当地の10万人当たりの日本語学習者数は5.1人で、ネパール(36.4人)とスリランカ(47.9人)に比べ、まだまだ圧倒的に少ない。ネパールやスリランカのような日本語学習が生活手段となり得る観光国家とは異なり、現地での日本語使用機会が少ないことも1つの原因とみられる。

(注1)基本的な日本語を理解することができるレベル(詳細はJLPTのHP外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照)。

(注2)ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度のレベル(詳細はJFT-BasicのHP外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照)。

(瀧本祝)

(バングラデシュ)

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