英閣僚らが東南アジア訪問、ASEANと共同声明を発表

(英国、インドネシア、ベトナム、フィリピン)

ロンドン発

2023年09月05日

英国の閣僚らが8月に相次いで東南アジアへの訪問を実施した。

ナイジェル・ハドルストン・ビジネス・通商省国務相は今後の貿易関係強化に向け、8月18日からインドネシアとベトナムの2カ国を訪問外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

19日にはASEANのカオ・キムホン事務総長と会談、ASEAN経済共同体との通商・経済政策の協力を検討したほか、規制改革や金融サービスなどさまざまな分野での経済協力を通じて、両者の貿易をさらに加速させる計画について議論した。

20日にはインドネシアで第3回ASEAN・英国経済相会議に出席外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、インドネシアのズルキフリ・ハサン商業相と共同声明を発表。主な内容は次のとおり。

  • 英国とASEAN間の経済・通商関係に影響を与え得るパンデミックや気候変動、国際金融市場の不安定性のさまざまな影響や、地政学的な緊張など、地域または世界的な課題について議論。特に、こうした地政学的な緊張がASEANに与える経済的な影響の緩和に向けて、両者の関係強化に取り組むこととし、中でもエネルギーと食料安全保障を主な課題として注力。
  • 英国がASEANの経済統合支援に向け、5年間で2,500万ポンド(約46億円、1ポンド=約184円)を出資する新たなASEAN・英国経済統合プログラム。
  • ASEANの金融統合に向けた、英国・ASEAN金融サービス協力に関する議論の成果を期待。
  • 東ティモールのASEAN加盟に向け、技術協力やキャパシティービルディングなどの支援を提供することに賛同。

その後、ハドルストン氏はベトナムを訪問し、合同経済貿易委員会(JETCO)のほか、同国との自由貿易協定(FTA)の貿易委員会に出席した。ハドルストン氏は自身のX(旧ツイッター)で、急成長するベトナムとの貿易を拡大するに当たって、JETCOが素晴らしい枠組みであることを再確認したと投稿。ベトナムが英国にとって主要な貿易相手国で、両国が共有する潜在性をさらに生かしていくことに期待するとした。

また、ジェームズ・クレバリー外務・英連邦・開発相は829日にフィリピンを訪問し、同国のフェルディナンド・マルコス大統領、エンリケ・マナロ外相と会談した。マナロ氏との会談では、海洋安全保障や再エネなどの分野で協力推進に向けた拡大パートナーシップの締結に関する意向書(Statement of Intent)に署名。両者はインド太平洋地域の主要な共通課題についても議論したほか、ロシアのウクライナ侵攻については、国連憲章の原則に基づく公正かつ持続的な平和に向けて、交渉を通じた解決策を実施すべきという点で合意した。

(チャウジュリー・クリシュナ)

(英国、インドネシア、ベトナム、フィリピン)

ビジネス短信 0cdd84554d0e0fc0