中国人民銀行、預金準備率を引き下げ

(中国)

北京発

2023年09月19日

中国人民銀行(中央銀行)は9月14日、金融機関の預金準備率を翌15日に0.25ポイント引き下げると発表した。預金準備率が5%の金融機関は対象外(注1)。これにより、金融機関の加重平均預金準備率は約7.4%となった。預金準備率の引き下げは前回3月(注2)に続いて、2023年では2度目となる。

中国人民銀行は、中国経済の回復や内生的動力の増強は持続性があり、社会の期待は改善し続けていると評価した上で、経済回復の基盤をより確実なものとし、資金の適切な流動性を確保するために、今回の預金準備率の引き下げに至ったと説明している。

国家統計局は9月15日発表の8月の経済動向解説で、8月は主要な経済指標が総体的に改善し、国民経済は回復に向かっているとしている。一方で、外的な不安定・不確定要素が依然として多く存在しており、内需も依然不足しており、経済回復の基盤を固める必要もあるとの見解を示していた。なお、8月の一定規模以上の企業の工業生産増加額(付加価値ベース)は前年同月比4.5%増で、7月の3.7%増から改善した。また、8月の社会消費品小売総額は4.6%増で、7月の2.5%増から改善が見られる。

平安証券研究所の研究チームによる9月17日発表のレポートでは、預金準備率の引き下げは経済回復に対する期待を後押しするもので、8月の利下げとともに金融政策は効力を持続するとしている。また、8月末以降、銀行間取引の金利が上昇傾向にあり、資金市場が比較的逼迫していたことから、今回の預金準備率の引き下げは資金面の緊張を解くものとも解説している。

(注1)国有大型銀行を含む大型銀行、株式制商業銀行などを含む中型銀行、農村商業銀行や農村合作銀行などを含む小型銀行の3種に分かれている。今回の引き下げ前は、それぞれの預金準備率は大型銀行が9.25%、中型銀行が7.25%、小型銀行が5.0%だった。

(注2)2023年3月の預金準備率引き下げは17日に発表、27日から適用している。引き下げ幅は0.25ポイント。

(亀山達也)

(中国)

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