タイ工業連盟(FTI)調査、金利の上昇に懸念

(タイ)

バンコク発

2023年09月07日

8月初めにタイ中央銀行(BOT)が政策金利を2.00%から2.25%へ0.25ポイントの引き上げを決定したことから、タイ工業連盟(FTI)は金利上昇が産業部門に与える影響を調査し、8月31日に調査結果を明らかにした。全国216人の企業の代表(CEO)に調査を行った。

調査の結果、回答者の過半数(60.2%)が金利の上昇に懸念を示していると分かった。また、2023年末の政策金利の予測は、「2.25%(変更なし)」が37.5%と最も多かったが、「2.50%(0.25ポイント引き上げ)」が32.4%、「2.00%(0.25ポイント引き下げ)」が30.1%と意見が分かれた。

金利上昇の影響については、「ローン金利の上昇や家計負債の増加により、消費者の購買力が低下する」という消費者への影響を懸念する回答が最上位となり、64.8%を占めた。一方、「製品価格の値上げが困難となり、景気回復への影響が懸念される」(62.0%)、「新規投資の延期や、金融コストの上昇による生産能力の縮小が懸念される」(56.5%)などの回答も上位を占めた。

金利上昇への対応策については、「営業費用の削減」(70.4%)、「投資の延期やキャッシュフローの改善」(67.1%)、「債務の整理」(42.6%)が上位となり、営業活動に対する影響が最も大きいことがうかがえる。

政府への提案については、「中小企業への低利融資」(68.5%)、「起業家がより容易に資金を利用できるよう融資条件を緩和」(67.1%)など、金利引き上げの影響を緩和する対策を打ち出すべきとの回答が上位を占めた。同時に、「BOTは金利の引き上げを延期すべき」(58.8%)など、今後の政策金利の動きそのものを牽制する意見もあった。

また、家計負債の増加に対処するため政府は何をすべきか、という質問に対しては、「公共料金の引き下げなど、生活費を削減する措置を導入すべき」(67.6%)、「雇用促進、新規雇用の創出、高齢者の就労促進」(61.6%)。「借金の期限内返済者に対して、金利引き下げなどのインセンティブを与える」(60.2%)などの幅広い対応を求める結果となった。

(ピンラウィー・シリサップ、藤田豊)

(タイ)

ビジネス短信 08df6e1b223e8df9