タタ、英国でのギガファクトリー建設を発表、40億ポンド超を投資へ

(英国、インド)

ロンドン発

2023年07月27日

インド大手財閥のタタ・グループは7月19日、電気自動車(EV)向け超大型バッテリー工場「ギガファクトリー」を英国に設立することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(同日付英国政府プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。投資規模は約40億ポンド(約7,200億円、1ポンド=約180円)超。生産能力は40ギガワット時(GWh)で、欧州最大のEVバッテリー工場の1つとなるとしている。工場の立地は、複数メディアにより、イングランド南西部サマセットと報じられている。

ギガファクトリーの建設により、直接雇用で4,000人の高技能職を、関連するサプライチェーンにおいてさらに数千人の雇用を創出できるとされ、英国に経済成長をもたらすことが期待されている。生産開始は2026年を予定。同工場で生産されるバッテリーは、タタのグループ企業である英国自動車メーカーのジャガー・ランドローバー(JLR)のほか、英国および欧州内の他のメーカーにも供給される予定。JLRは、2021年2月に「ジャガー」の世界向け全ブランドを2025年からEVとし、加えて2030年までに「ランドローバー」の全ての車種でEVモデルを提供する計画を発表。2039年までにサプライチェーンや生産も含めて温室効果ガス(GHG)の純排出ゼロの企業となる目標も掲げている。また2023年4月には、EV生産能力強化に向け、今後5年間で150億ポンドを投じることを発表した。

政府によれば、本計画により、英国において2030年まで必要となるバッテリー生産量の半分近くを供給できる見通しで、英国のゼロエミッション車両への移行をさらに進展させる。

今回の発表に対し、リシ・スナク首相は、タタ・グループが数十億ポンドを投資したことは、英国の自動車製造産業とそれに携わる従業員の強みを証明するものだと述べ、タタ・グループによる英国へのギガファクトリー建設決定を歓迎した。

英国自動車製造販売者協会(SMMT)のマイク・ホーズ会長は声明を発表し、今回の発表をきっかけに、英国自動車産業の強みを海外に広め、国際競争力を維持し、EVサプライチェーンのさらなる規模拡大を図っていかなければならないとした。

英国政府が提供するタタ・グループに対する支援の詳細は今後、発表される予定。現在、英国政府は自動車変革基金(ATF)を通じて、自動車の電動化とそのサプライチェーンの構築を支援している(注)。

(注)英国の電気自動車のサプライチェーンについては調査レポート「電気自動車(EV)への移行を目指す英国自動車関連産業の動向」を参照。

(チャウジュリー・クリシュナ)

(英国、インド)

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