米カリフォルニア州、モバイル運転免許証の導入試験プログラム拡大
(米国)
サンフランシスコ発
2023年09月14日
米国カリフォルニア州陸運局(DMV)は2023年5月下旬から、運転免許証をデジタル化した「モバイル運転免許証(mDL)」の提供を試験的に開始した。8月にはmDLプログラムを一般に無料で公開し、150万人が参加登録できるようにしたが、9月6日朝時点の登録数は約13万5,000人にとどまっている。DMVの広報担当者アニタ・ゴア氏は「mDLを利用できる小売店は増える見込みで、近い将来、レストランやバーでも利用できるようになるだろう。私たちはmDLをより多くの人々に使用してもらいたい」とメディアに述べた。
米国で2020年12月に成立したリアルID近代化法(REAL ID Modernization Act)により、国家安全保障省(DHS)が個人識別情報の電子通信を認めるようになった。この電子通信を用いた個人識別は2022年1月時点でいずれも実証段階にあり、運転免許証のデジタル化のmDLはその有力な候補に位置付けられる。DHSは国立標準技術研究所(NIST)や運輸保安局(TSA)と連携して、各州、標準化団体、技術開発者とリスク評価とガイダンスの作成を進めてきた。ホワイトハウスの2023年7月のレポートによると、アリゾナ州を含む少なくとも8州がmDLを導入済み、カリフォルニア州を含む3州がパイロット評価中、17州が検討中と報告されている。また、国際標準化団体のISOで標準化され、2021年9月に公開されている。
TSAによると、mDLはカリフォルニア州のサンフランシスコ国際空港のターミナル3、サンノゼ国際空港のチェックポイントA、ロサンゼルス国際空港のターミナル7など、20以上の空港のTSA保安検査(注)で利用できる。さらに、州内の主にサクラメントとロサンゼルスにある幾つかの小売店で、アルコールを購入する際の年齢確認にも使用できる。ただし、mDLは物理的な免許証の代替とはならず、警察などでは使えないため、車を運転する際には従来の免許証の携行が必要だ。
mDLへの登録を希望する場合は、同州DMVのウェブサイトから手続きできる。また、mDLを作成する場合は、スマートフォンのApp StoreかGoogle Playから専用のアプリをダウンロードし、必要な情報を入力した上で、承認を得る必要がある。
(注)DHS傘下のTSAが運営する保安検査。米国加盟空港出発時の保安検査の簡略化・迅速化を図るもの。
(濱真奈)
(米国)
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