米テック企業、続々と対話型AIをサービスに搭載

(米国)

サンフランシスコ発

2023年08月17日

対話型人工知能(AI)を搭載する動きは、米国スタートアップのオープンAI(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)が開発した「ChatGPT」が202211月に登場したことを機に、活発化している。

例えば、世界190カ国でクラウドコンピューティングサービスを提供するアマゾンウェブサービス(AWS、本社:ワシントン州シアトル)は417日、AWS上で生成AIを活用したアプリケーションを構築するツール「アマゾン・ベッドロック」を発表した。「アマゾン・ベッドロック」では、API(注1)を通じて基盤モデル(注2)を使用することができる。同ツールの利用者は、アマゾンが開発した基盤モデル「アマゾン・タイタン」のほか、生成AI開発大手のアンスロピックやスタビリティーAIなどが開発した基盤モデルを用いて、幅広い用途のアプリケーションを構築できる。

また、フードデリバリーサービスを展開するドアダッシュ(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)は426日、同社のブログに生成AI活用の方向性を明らかにした文書を投稿外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同社はその中で、生成AIを活用できる領域として、(1)顧客のタスク完了のサポート、(2)顧客ごとにカスタマイズされた検索結果の表示、(3)パーソナライズされたコンテンツの提供とその訴求、(4)構造化された情報の抽出、(5)従業員の生産性向上の5つを挙げている。

さらに、食料品・日用品の買い物代行サービスを展開するインスタカート(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)は531日、AIを搭載した検索ツール「アスク・インスタカート」を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。このツールは同社のアプリに組み込まれており、(1)オープンAIChatGPTの言語理解能力、(2)同社独自のAIモデル、(3)カタログデータの3つを活用して、推奨する商品や食品の調理方法、特性、注意点などの情報をユーザーに提供するほか、質問への回答機能も搭載している。発表時点では、アプリ利用者の半数以上が同ツールを利用可能となっており、今後全米への展開を進めるとしている。

米国配車サービス大手のウーバー・テクノロジーズ(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)のダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)は81日、ブルームバーグのインタビューで、AIを搭載したチャットボットの開発に取り組んでいると述べた。コスロシャヒCEOは、チャットボットで何ができるのかについて明らかにしていないものの、同社は顧客サービスやマーケティング、タスクの自動化などを改善することを目的に、自社アプリ向けにAIを活用したチャットボットを開発していると報じられている。

(注1)アプリケーション・プログラミング・インターフェース(Application Programing Interface)の略語で、アプリケーションやソフトウエアが情報をやり取りする際に、それらをつなぐ機能を提供する仕組みを指す。

(注2)大規模かつ多様なデータで学習し、質問への応答や画像認証など、さまざまな種類のタスクに対応できるように訓練されたAIモデル。

(濱真奈)

(米国)

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