テキサス高速鉄道、米旅客鉄道公社アムトラックとの新たな連携を検討

(米国)

ヒューストン発

2023年08月14日

米国テキサス州高速鉄道プロジェクトの民間事業主体のテキサス・セントラルと米国鉄道旅客公社のアムトラックは8月9日、テキサス高速鉄道計画の実現可能性を見極めるために、事業計画や分析作業を前に進める考えを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。両社は2016年以来、アムトラックの予約システムを活用した共通チケットの発行に合意するなど協力関係にある。

テキサス高速鉄道は時速205マイル(約330キロ)で、ダラス~ヒューストン間の約240マイル(約386キロ)を90分で結ぶ計画だ。両都市間の主な移動手段は現在、休憩を含め最速4時間ほどかかる自動車か、飛行時間のみで所要70分ほどの航空機だ。計画実現のカギとされる連邦政府からの規則案が2020年9月に公表され(2020年9月23日記事参照)、テキサス州最高裁が2022年6月にテキサス・セントラルに対し鉄道沿線の土地収用権を認める判断を下すなど、計画実現に向けこの数年で明るい動きもあった。一方、2016年からテキサス・セントラルを率いていたカルロス・アギラ前最高経営責任者(CEO)が2022年6月に退任を表明したほか、当初120億ドルとされた総工費が400億ドル以上に膨れ上がり、「足踏み状態」とも報じられていた(ABCニュース2023年8月10日)。

アムトラックのアンディ・バイフォード上級副社長(高速鉄道開発担当)は「米国にさらに高速鉄道を敷設するのであれば、ダラス~ヒューストン間は注目すべき計画の1つであり、大いに可能性がある」「われわれはテキサス州の鉄道需要に応えられるように、当社の経験を生かしてこの潜在的なプロジェクトを評価し、テキサス・セントラルと機会を模索することを楽しみにしている」と述べている。

両社は、連邦政府の支援への申請に動き出している。具体的には、連邦鉄道局(FDA)が所管する都市間旅客鉄道の安全、効率、信頼性を向上に資する取り組みへの支援策や、米国運輸省が所管し助成対象にアムトラックが含まれる旅客鉄道支援連邦補助金(注)などだ。これに対して、元々、民間資金で想定していた事業に税金を活用することに地元コミュニティーからの反発が起きる可能性も報じられている(NBCニュース2023年8月11日)。

(注)例えば、都市間旅客鉄道の運行時間短縮や電化などサービス向上に資する取り組みや環境評価などの経費について、連邦政府が最大8割を支援する。

(桜内政大)

(米国)

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