テキサス高速鉄道、建設へ前進

(米国)

ヒューストン発

2020年09月23日

テキサス州高速鉄道プロジェクトの米国民間事業主体テキサス・セントラルは9月21日、米国運輸省連邦鉄道局(FRA)が本プロジェクトに適用される最終安全規則(RPA)案、環境影響評価の完了を示す決定評価(ROD)案を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしたことを明らかにした。

RPAはテキサス・セントラルに対し、高速鉄道システムの信号管理や線路、車両、メンテナンスなど、高速鉄道システムの安全要件を示すもの。米国内の従来型の鉄道よりも大幅に厳格な事故回避措置を前提につくられているという。また、RODにより、国家環境政策法(NEPA)の下で2014年に始まった環境影響評価が完了し、経路としてヒューストン~ダラス間が正式に認められる。RPA、RODとも、正式には近日中に官報に掲載される。

FRAの公表を受け、テキサス・セントラルのカルロス・アギラ最高経営責任者(CEO)、さらに経路に当たるヒューストン市のシルベスター・ターナー市長、ダラス市のエリック・ジョンソン市長が事業の前進を歓迎した。テキサス・セントラルは2021年前半の着工を目指している(「テキサストリビューン」紙9月21日)。

本高速鉄道は、車両、線路、コアシステムには東海道新幹線のシステムを用い、ヒューストン(2019年推計人口232万人、全米4位)とダラス(134万人、9位)間約385キロを約90分で結ぶ計画だ。FRAによると、専用線を用い、途中踏切を設けず、最高速度は時速330キロを予定(注)。テキサス・セントラルは建設期間6年間で1万7,000人以上の直接雇用を創出し、建設関連支出、雇用、システムの維持・運営支出により25年で360億ドルの経済効果を期待できるとしている。

なお、テキサス・セントラルは、事業に必要な600以上の区画、また駅予定地のダラス、ヒューストン、途中駅予定地のブラゾス地域の土地を押さえているとしているが、一部沿線の地主からは反対されている。元連邦下院歳入委員長のケビン・ブレイディ下院議員は2020年6月、ダラス~ヒューストンルートは農家や酪農家の財産権を脅かすものとして、プロジェクトへの反対声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出している。

(注)東海道新幹線N700Sの最高速度は、時速285キロ。現在、両都市間の主な移動手段は、休憩を含め最速4時間ほどの車か、飛行時間のみで1時間10分の航空機。

(桜内政大)

(米国)

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