6月の貿易赤字が過去最大に、干ばつで大豆など農産品の輸出減が影響

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2023年08月01日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)が7月19日に発表した貿易統計PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、2023年の貿易赤字は悪化の一途をたどり、6月単月では、貿易収支は17億2,700万ドルと月別で過去最大の貿易赤字になった。輸出が前年同月比35.4%減の54億5,000万ドル、輸入は17.2%減の71億7,700万ドルだった(添付資料図参照)。

6月に過去最大の貿易赤字になった最大の要因は、国際コモディティー価格が低調に推移する中で、国内の干ばつで大豆などの農産品輸出量も影響したためだ。

INDECによると、歴史的な干ばつの影響で特に6月の輸出は、大豆油かす、トウモロコシ、大豆油などが大きく減少した。輸入は、主に軽油、液化天然ガス、電力などが減少したものの、大豆の輸入は増加した。

2023年上半期の輸出は前年同期比24.5%減の335億900万ドル、輸入は8.5%減の378億9,700万ドルだった。貿易収支は43億8,700万ドルの赤字となり、約30億ドルの黒字だった前年同期から大きく悪化した。

上半期の品目別輸出額をみると、農畜産物加工品が前年同期比26.1%減、一次産品が40.6%減、工業製品が10.8%減、燃料・エネルギーが5.9%減と全品目で減少した(添付資料表1参照)。品目別輸入額は、燃料・潤滑油関連品が前年同期比32.9%減、資本財が13.5%減、消費財が7.9%減、中間財が3.8%減少した一方で、資本財の部品が7.1%増、乗用車が5.8%増加した。

上半期の仕向け地別輸出額をみると、最大の貿易相手国であるブラジル向けは前年同期比1.3%減、中国(香港・マカオを含む)向けが4.0%減、米国向けが22.4%減だった(添付資料表2参照)。原産地別輸入額では、ブラジルが19.4%増加したが、中国(香港・マカオを含む)が23.3%減、米国が14%減だった。なお、これら3カ国に対しては貿易赤字が続いている。

7月21日付の現地紙「エル・クロニスタ」(電子版)によると、民間調査会社のアベセブは今後の見通しについて、輸出の減少によって2023年全体の貿易収支が悪化し、金額にして約70億ドルの外貨収入が失われると予測している。ただし、原油輸出の拡大と天然ガス輸入の減少によって燃料・エネルギーの貿易赤字が徐々に縮小するとも述べている。また、2024年は、天候条件が回復し、農業部門で約150億ドルの輸出が期待され、さらに7月に敷設工事が完了したネストル・キルチネル・ガスパイプライン(2023年7月18日記事参照)によってエネルギー輸入も減少できるとみている。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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