タイのSETAで日本の官民が水素・アンモニア技術をアピール

(アジア、タイ、日本)

バンコク発

2023年08月21日

アジア最大級のエネルギー関連イベント「サステナブル・エネルギー・テクノロジー・アジア(SETA)」が817日から18日にかけて、バンコク都内で開催された。今回はカンファレンス形式で開催され、発電、送配電、再生エネルギー、太陽光、水素、エネルギー貯蔵、モビリティー、電気自動車(EV)・チャージ、循環型経済、デジタルトランスフォーメーション(DX)といったテーマについて、国内外からキーパーソンが登壇した。

写真 タイ国内外からエネルギー関係のキーパーソンが参加(ジェトロ撮影)

タイ国内外からエネルギー関係のキーパーソンが参加(ジェトロ撮影)

タイのスパッタナポン・パンミーチャウ副首相兼エネルギー相は、持続可能なエネルギーソリューションを取り入れることの重要性を強調した上で、企業などの最新情報の発表、連携に向けた活発な議論、ネットワーキングに期待を示した。

写真 登壇したスパッタナポン副首相(ジェトロ撮影)

登壇したスパッタナポン副首相(ジェトロ撮影)

基調講演を行った資源エネルギー庁の木原晋一国際カーボンニュートラル政策統括調整官は「アジア各国でエネルギー需要が拡大する見通しだ。アジアの炭素排出量は現在、世界の半分以上を占めており、アジアの脱炭素化がカギを握っている」と指摘した。その上で、カーボンニュートラル達成に必要なのは、環境(Environment)・経済(Economy)・エネルギー供給(Energy Supply)の3つの「E」のバランスがとれた「各国事情に適合した多様かつ実際的なアプローチだ」と述べた。日本政府が推進する「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」の下、日本は脱炭素関連技術やファイナンス、人材を提供できると語った。

写真 木原調整官はアジアの脱炭素化の重要性を強調(ジェトロ撮影)

木原調整官はアジアの脱炭素化の重要性を強調(ジェトロ撮影)

水素やアンモニアの活用が脱炭素化のカギに

水素、アンモニアに関するセッションでは、日本の企業・団体などが最新技術を紹介した。日本エネルギー経済研究所の寺澤達也理事長は「水素、アンモニアでの発電領域で、日本はリーダーとも言える」と述べ、今後、電力分野に加えて、鉄鋼、化学、航空、海運、陸運など非電力分野での水素の活用が「脱炭素化に重要な役割を果たす」という見方を示した。

寺澤理事長によると、水素利用では幾つか方式があり、液体水素は輸送が難しく、メチルシクロヘキサン(MCH)は輸送しやすいが分解が困難、アンモニアは利用しやすいが有毒で窒素酸化物(NOx)を排出するなど、それぞれ長所と短所があるという。また、費用面の課題もある。そうした課題に対するソリューションとして、JERAIHI、川崎重工などの日本企業から生産や輸送、貯蔵、利用(燃焼)の一連のバリューチェーンで活用できる技術が紹介された。

写真 パネルに登壇したIHI執行役員の森岡典子博士(ジェトロ撮影)

パネルに登壇したIHI執行役員の森岡典子博士(ジェトロ撮影)

なお、2024年のSETAは展示会(2024年8月15日〜17日)形式で開催を予定している。

(北見創)

(アジア、タイ、日本)

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