外国企業の米国内雇用は2021年に800万人に増加も、新型コロナ感染拡大前の水準に達せず

(米国、日本)

ニューヨーク発

2023年08月21日

米国商務省は8月18日、外国企業の在米関連会社の活動状況に関する最新のデータ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(2021年時点)を公表した(注1)。外国企業の米国内での雇用者数は2021年に前年比2.9%増の794万200人となり、新型コロナウイルス禍で落ち込んだ前年から増加に転じた。ただし、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)感染拡大前の2019年(808万3,000人)の水準には届かなかった。

外国企業による米国内での雇用は、国籍別では、英国122万2,800人(前年比4.2%増)、日本96万3,400人(3.3%増)、ドイツ92万3,600人(0.7%増)、カナダ86万6,300人(1.0%増)、フランス74万1,200人(0.2%増)の順に多い。サプライチェーンの混乱や行動制限など新型コロナの影響が強く残る状況下で、各国企業とも米国での雇用を増加させた(添付資料図参照)。業種別では、製造業(281万1,500人)、小売業(97万1,400人)、卸売業(65万9,400人)、州別では、カリフォルニア州(81万6,400人)、テキサス州(66万500人)、ニューヨーク州(50万9,200人)で特に多かった。外国企業の雇用は2021年に増加したものの、国内の民間部門全体に占める割合は、前年の6.3%から6.2%に低下している。

日本企業の在米関連会社の状況をみると、製造業の雇用者数が53万3,100人と、全体の55.3%を占めて最も多く、内訳は輸送機器(20万9,000人)、化学(5万5,500人)、プラスチック・ゴム製品(5万4,000人)、コンピュータ・電子製品(5万3,200人)、機械(4万9,700人)などとなっている(注2)。他の主要国と比較し、日本は製造業雇用の多さが特徴で、2位のドイツ(31万8,000人)、3位のアイルランド(24万6,700人)、4位の英国(23万6,500人)、5位のフランス(21万3,600人)を大きく上回り、国別首位を維持した。また、日本企業による州別の雇用者数では、カリフォルニア州(11万2,800人)、テキサス州(7万5,900人)、オハイオ州(6万8,900人)、インディアナ州(6万900人)、イリノイ州(5万8,500人)で多い。他国に比べ、製造業が集積する中西部での雇用の多さが特徴だ。

雇用者数以外にも、2021年時点の外国企業の在米関連会社による付加価値額、支出額、研究開発(R&D)などに関するデータも公表された(添付資料表参照)。米国のGDPに寄与する名目付加価値額は、前年比12.6%増の1兆1,610億ドルだった。これは米国の産業部門全体の6.5%に相当する。また、外国企業による不動産や工場・設備への支出額も、前年比5.0%増の2,908億ドルに拡大した。外国企業のこれら支出額は国内産業部門の資本支出額の17.3%を占める。研究開発支出額は9.4%増の783億ドルに拡大し、米国全体の13.3%(注3)を占めた。主要国の中で日本企業は、不動産や工場・設備への支出額、販売額、財輸出額などの活動指標で首位を維持している。

(注1)直接、間接を問わず、外国の親会社が過半を所有する在米関連会社

(注2)製造業以外では、卸売業(18万9,300人)、小売業(7万8,600人)が多い。2021年には小売業の雇用者数が前年の4万400人からほぼ倍増した。日本企業による大型の米企業買収の影響とみられる。

(注3)データ取得可能な2020年の研究開発支出総額に対する比率。

(米山洋)

(米国、日本)

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