スイス産日本風ドレッシング「歌舞伎」のメーカーに聞く

(スイス)

ジュネーブ発

2023年08月25日

スイスのドレッシングメーカーのアカリ・テイスト(akari taste外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は、2大スーパーマーケットの1つのコープ(COOP)で取り扱われ、スイスで最も普及しているスイス産日本風ドレッシング「KABUKI(歌舞伎)」を製造・販売している。同社CEO(最高経営責任者)のロマン・ドンゼ氏に話を聞いた(2023817日)。同氏がコメントした内容は次のとおり。

同社の主力製品の「歌舞伎」ドレッシングは、ベルンの日本食レストランのシェフ田中伸二氏(注1)が、日本食レストラン「歌舞伎」で提供するため日本人の好みに合わせて作った、ゴマやタマネギをベースに独自にブレンドしたドレッシングが発祥だ。人気が高まって小売り販売もされるようになり、2005年に工場が設立された。2008年に田中氏がドレッシング製造を中止すると決めたことから、ドンゼ氏らが製造を引き取り、経営することになった。

現在、従業員は12人、2022年の売上高は300万スイス・フラン(約49,500万円、1スイス・フラン=約165円)。チューリッヒ近郊のクローテンに工場と小売り店舗を設け、自社EC(電子商取引)サイトで販売するほか、コープ、グローブス(Globus)、マノール(Manor)、イェルモリ(Jelmoli)などの小売り大手でも取り扱われている。レストラン向けに「歌舞伎」ドレッシングの卸売りもしているほか、最小50キロから顧客企業が希望する独自のドレッシングの開発・製造も行っている。

写真 「歌舞伎」ドレッシングのラインナップ(10種類中の7種類)(アカリ・テイスト提供)

「歌舞伎」ドレッシングのラインナップ(10種類中の7種類)(アカリ・テイスト提供)

現在、「歌舞伎」ドレッシングは全10種類。最も人気のゴマや黒ゴマのほか、ゴマワサビ、マイルドチリ、柚子(ゆず)ショウガ、テリヤキなど幅広い味を取りそろえる。サラダ向けのドレッシングのほか、マリネや、マヨネーズを混ぜディップにするなど、使い方は幅広い。ポケ丼(注2)にも使用できる。温めても、冷たいままでも楽しめる商品となっている。

写真 製造の様子(アカリ・テイスト提供)

製造の様子(アカリ・テイスト提供)

「歌舞伎」ドレッシングの特長は、家庭で作られるような手作りで製造され、低温殺菌をせず新鮮であること。人工添加物、調味料、保存料を使用していないが、保存期間は5~7カ月と長い。市場からも味の良さが評価されている。ゴマやしょうゆ、みりん、米酢、ワサビ関連の材料は日本から輸入している。今後は、欧州の他国にも輸出していきたいと考えている。

(注1)日本の農林水産省が任命する「海外における日本食普及の親善大使」で、同省の「日本食海外普及功労者表彰」を受賞しているニュースタイルレストラン「タナカ(TANAKA)」のオーナーシェフ。

(注2)魚介類をサイコロ状の切り身にし、しょうゆ、海藻、香味野菜などを混ぜ込んで調味したハワイの伝統的な料理。

(深谷薫、パブロ・ダス)

(スイス)

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