EVリースが最もコスト安、米民間シンクタンクが調査結果発表

(米国)

ニューヨーク発

2023年08月28日

米国の超党派によるエネルギー、環境政策関連のシンクタンク「エネルギーイノベーションポリシー・アンド・テクノロジー」(本部:カリフォルニア州サンフランシスコ)は822日、ガソリン車(ICEと電気自動車(EVの購入、リースのコスト比較でEVリースが最も低コストという調査結果を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同社は、インフレ削減法(IRA)によるリース車両への税額控除要件が購入の場合に比べて緩やかな点や、リースの場合は高い水準にある自動車ローン金利の影響が少ないこと、車両の運用や保守にかかるコストの低さなどが押し下げ要因となったとみている。

IRAでは、クリーンビークル(注)購入の際に、消費者は最大7,500ドルの税額控除を受けられるが、対象となる車両には、北米で最終組み立てが行われていることなど複数の要件を定めている。そのため、現時点で対象となるモデル数は全クリーンビークルの2割弱にとどまる。一方、リース車両にはこうした要件が適用されず、ディーラーは乗用車や小型トラックをリースする場合、ディーラーが購入した形態を取ることで、1台当たり最大7,500ドルの控除が受けられる。同調査では、約半数のディーラーが節税分を消費者に還元しているとみている。また、税額控除がない場合でも、EVICEより燃料費や維持費が安く、ガソリン価格が上昇した場合はさらに節約できるといった利点を挙げている(「オートモティブ・ニュース」電子版823日)。

調査は、乗用車やスポーツ用多目的車(SUV)、ピックアップトラックなどの車種に加え、車両のサイズや価格帯の類似性を基に車両を14グループに分け、それぞれに代表的なICEEV1モデルずつ抽出して、貸付期間6年間のローン購入と36カ月リースの場合にかかるコストを比較した。コストの中には車両本体に対する支払い価格のほか、税金、連邦政府や自治体などからのインセンティブ、保守費用、燃料費や保険料を含む維持費なども含まれる。調査の結果、EVの場合は、リースの月額支払額は平均835ドルなのに対し、購入では915ドルだった。ICEの場合は、リースは1,027ドル、購入は1,001ドルだった。例えば、フォードのEV「マックE」をリースした場合、同じグループのICEをリースした場合に比べて月額のコストは502ドル低かった。また、テスラのSUV「モデルY」は同グループのICEのリースに比べて425ドル低くなるなど、モデルによっては大幅なコストダウンが認められた。

(注)バッテリー式電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)の総称。

(大原典子)

(米国)

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