GDP成長率が2四半期連続で前期比マイナスを記録
(サウジアラビア、中東)
リヤド発
2023年08月01日
サウジアラビア総合統計庁(GASTAT)は7月31日、2023年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率(速報値)が前年同期比で1.1%となったと発表した。産業別の成長率をみると、非石油部門と政府サービス業がそれぞれ5.5%、2.7%と好調だったものの、石油部門がマイナス4.2%となった。
一方で、前期比(季節調整値)の成長率をみると、非石油部門と政府サービス業はそれぞれ1.8%、0.6%と成長したものの、石油部門のマイナス1.4%が影響し、全体としてもマイナス0.1%となった。前期に続くマイナス成長(2023年5月9日記事参照)となり、2四半期連続での前期比マイナス成長となる景気後退(テクニカル・リセッション)に突入した。
国際機関も見通しを下方修正している。IMFは7月25日に発表した最新の「世界経済見通し(WEO)」において、サウジアラビアの2023年の成長率見通しを2.1%から1.9%に下方修正した。IMFはこの下方修正について、サウジアラビアが4月と6月に発表した原油減産を反映したものと説明する。これによりIMFは、前回4月時点の予測値だった3.1%からすでに2度の成長見通し引き下げをしたことになる。一方、非石油分野については、ギガプロジェクトを含む民間投資が経済成長を牽引するとの見方を示した。また、IMFは、サウジアラビアに限らず、中東・中央アジア全体の経済成長率も前年の5.4%から2.5%に減速すると見通す。
今回のGASTATの発表内容について、民間投資銀行のエコノミストは「最も注目すべき点は非石油部門。発表された数値より高い成長率を予想していた。石油部門の減速はOPECプラスによる減産の影響によるもので、経済の実態を反映していない」との見方を示す。
(秋山士郎)
(サウジアラビア、中東)
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